牛島和彦氏 ロッテ・朗希のフォーク、リリースポイントとマリン特有の風で魔球になった

[ 2022年4月11日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―0オリックス ( 2022年4月10日    ZOZOマリン )

<ロ・オ>フォークを投げる佐々木朗(撮影・長久保 豊)
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 【牛島和彦氏 視点】記録ずくめの完全試合。佐々木朗の器の大きさを改めて認識した。オープン戦から公式戦2度の先発を通じ、課題とされていたのは球数増と、直球が抜けて逆球になることが多かったこと。だが、この試合で2つの課題をクリアしていた。

 初回の10球は全てストライク。2死から吉田正に初球160キロ外角の直球。フォークを2球続けて簡単に三振を取った。球数を抑えて立ち上がれたことで余裕ができた。もう一つの課題だった直球の抜け球も105球のうち4、5球。打者に近い方でリリースできていた。こういう時はフォークの落ちもいい。

 ZOZOマリンの球場特性も味方につけていた。この試合、センターからホーム方向に4、5メートルの風が吹いていた。私もロッテ時代に経験しているがマリンはセンター方向からの風がバックネットに当たってはね返ってくる。投手にとっては逆風になるのだ。95年4月21日オリックスの野田浩司投手が19三振を奪ったのもマリン。投げ合った後輩の小宮山悟に聞いたところではその日もセンターからホーム方向に強い風が吹き「変化球がよく落ちた」と言っていた。小宮山も10三振を奪っている。打者寄りでリリースする理想的なフォームで落ちがいいフォークが、マリン特有の風でさらに落ちた。その結果が記録的な奪三振。完全試合につながったと思う。

 最後に付け加えたいのが松川のサポートだ。前回よりも、松川は直球のときにボール1つ分、低く構えていた。若いバッテリーの工夫が直球の抜け球を減らし、大記録へつなげた。佐々木朗はどこまで成長するのか。楽しみを通り越して怖くなってきた。(スポニチ本紙評論家)

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2022年4月11日のニュース