34年前にあった「規格外」の21連敗 世界中が注目した伝説記録

[ 2022年4月3日 08:10 ]

1988年5月1日付東京版18面
Photo By スポニチ

 思いの外「初めて知った」という人が多かった。88年。もう34年も前になるから無理もない。

 阪神が2日、巨人に敗れて開幕8連敗。セ・リーグのワースト記録に並んだ。これを受けてスポニチのツイッターアカウント「スポニチ野球記者」に、「メジャーの開幕連敗記録は88年オリオールズの21連敗」と書き込んだ。読者からは「メジャーはなんでも規格外だなぁ笑」「当時のオリオールズの選手は連敗中どんな気持ちで戦っていたのだろう」「MLB記録がアンタッチャブルすぎて声出た」などのリプライが多数、寄せられた。

 世界中から注目された伝説の連敗記録だった。当時のオリオールズにはメジャー歴代1位の2632試合連続出場の記録を持つ「鉄人」カル・リプケンが在籍。加えて父であるカル・リプケン・シニアが監督を務めていた。しかし88年4月12日、チームが開幕6連敗を喫した時点で父シニアは解任されてしまう。息子リプケンも打撃の調子が上がらず絶不調だった。

 後任監督にフランク・ロビンソンが就任するが、そこからも負け続ける。10、15…。同26日には19連敗まで伸び、ロビンソン監督の元に当時のロナルド・レーガン大統領から激励の電話がかかってくる事態にまでなった。クラブハウスには連敗脱出に備えてシャンパンが用意されるが、まだ連敗は止まらない。

 同28日、ツインズに2―4で敗れてついに21連敗。球団DJのボブ・リバースさんは「オリオールズが勝つまで放送を続ける!」と公言してしまい、255時間以上も放送ブースでDJを続けた。ボルティモア銀行の女性行員も「勝つまでパンストをはかない」と宣言した。

 長い、長いトンネルを抜けたのは翌29日。開幕から26日目だった。ホワイトソックスに9―0で完封勝利。リプケンも本塁打を放ち、勝利投手となったウィリアムソンは「まるでワールドシリーズを戦ったみたいだ」と興奮を隠せず。最後の3イニングを抑えたシュミットも「9点もリードしているのに、9回のマウンドは足の震えが止まらなかった」と振り返った。ボルティモアの街はお祭り騒ぎ。そして、勝つまでDJを続けたリバースさんは10日ぶりにようやく帰宅した。(記者コラム・鈴木 勝巳)

続きを表示

2022年4月3日のニュース