赤星憲広氏「消極的な姿勢は見られない。やり返すしかない」開幕8連敗の阪神に逆襲エール

[ 2022年4月3日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-5巨人 ( 2022年4月2日    東京D )

スポーツニッポン評論家・赤星憲広氏
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 【赤星憲広氏の視点】阪神は2日の巨人戦に4―5で敗れ、セ・リーグワーストの開幕8連敗を喫した。8戦全敗は史上初の屈辱。とはいえ、攻撃陣は相手を上回る10安打を放ち、救援陣も無失点と奮闘した。長いトンネルの出口が見えない中、本紙評論家・赤星憲広氏(45)がチームの現状を分析。「消極的な姿勢は見られない。必ず出口はある。やり返すしかない」と苦しみながらも前進を続ける矢野阪神に、逆襲エールを送った。

 当然、勝てなかった要因はある。しかし決して屈してはいなかった。数多くのプレーがあった中で、最後のプレーとなった場面に注目したい。

 1点を追う9回1死二、三塁だ。佐藤輝の遊直に三塁走者の近本が三塁に戻れず併殺でゲームセット。ボールがバットに当たった瞬間、三塁走者の近本はスタートを切っていた。結果だけを見れば走塁ミスと思われるだろう。しかし、動きを見れば「ギャンブルスタート」だったことは明らかだ。

 初勝利が遠い現状、そして後続との兼ね合いも考えた中での判断だったはず。「まずは同点」を狙ったベンチの作戦。近本の足なら仮に飛球であれば、三塁への帰塁は可能、ゴロ打球の場合は生還できる可能性が高いと判断したのだろう。

 仮に佐藤輝が凡退していれば、続く大山は申告敬遠で歩かされていた。開幕から好調を維持し、この日も2安打。巨人ベンチは状態の良い大山との勝負は避けて、続く小野寺との勝負を選択することが妥当だ。それらの条件から判断して得点確率の高い「ギャンブルスタート」の作戦に打って出たものの最悪の結末となった。ただ、近本は本能で、そして反応だけで何とか帰塁しようとしていた。普通の走者なら本塁へと一直線で、反応はできないだろう。そこには必死な姿勢と、諦めない姿があった。

 長いトンネルの中でチーム全員にプレッシャーがかかっている。先発の小川も本当の怖さを知ったはずだ。しかし彼の良さは強気に投げ込む投球スタイル。反省はしても、持ち味である強気な姿勢を消してはいけない。

 また攻撃でも消極的な打撃は見られなかった。大山や近本も初球から果敢にスイング。負けが続くと、どうしても打席内で迷いも生じ、慎重になってしまうところがある。しかし「攻撃」の言葉通り攻める姿勢があった。

 そして前夜に続いて救援陣も踏ん張った。好守もあった。ここまで来たら一つの勝敗で一喜一憂している場合ではない。気持ちも大事だが、それ以上に今こそ地に足を着けて、やらなければいけないことを確実にやることだ。選手たちは自らの調子を上げる。それが一つとなってチームになる。その先に必ず出口がある。プロである以上やられたら、やり返すしかない。

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2022年4月3日のニュース