優勝候補の京都国際 コロナ集団感染で出場辞退 普段から予防徹底も…開幕前日に悲運

[ 2022年3月18日 05:30 ]

昨夏の甲子園で、校歌斉唱する森下(左から6人目)ら京都国際ナイン

 第94回選抜高校野球大会の大会本部は17日、京都国際が新型コロナウイルスの集団感染により出場を辞退したと発表した。近畿地区補欠1位校の近江(滋賀)が4年ぶり6度目の出場となった。補欠校の出場は06年に不祥事で辞退した駒大苫小牧(北海道)に代わる北海道栄以来。近江は京都国際の初戦が予定されていた大会第2日の第2試合に組み込まれ、長崎日大と対戦する。

 開幕前日に激震が走った。大会ナンバーワン左腕の呼び声高かった森下瑠大(新3年)を擁し、優勝候補の一角だった京都国際を新型コロナウイルスの猛威が直撃した。宿舎入り前の14日に実施したPCR検査でチーム31人中8人が陽性判定。16日の再検査の結果、17日朝、さらに5人の陽性が判明した。計13人となったことから集団感染と判断され、同日午後4時、辞退届を提出した。同校は4強入りした昨夏の甲子園大会中も宿舎からの外出を禁止するなど普段から予防に手を尽くしてきたが、感染を防ぐことはできなかった。

 大会本部は16日から17日にかけて緊急対策本部の会議を開き、同校の大会参加について大会の新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドラインにのっとり審議。主催者として最後まで出場できる道を模索していたが、辞退は避けられず、辞退届を受理するに至った。

 「あすの開会式を控えたこの段階で言葉がございません。生徒たちの心情を察します。大変無念です」と日本高野連の宝馨会長。京都国際・朴慶洙(パク・キョンス)校長は「これまで一心に野球に打ち込んできた子どもたちのことを思うと、下したくない決断でした」とし、「辞退により肩を落とす子どもたちの心のケアに努めていきたい」と前を向いた。開幕前のため、出場回数もノーカウント。コロナ下で悲劇の連鎖が止まらない。

 出場校のうち28校は全員陰性。京都国際以外の3校でも計6人が陽性だったが、専門家の意見を踏まえて各校とも出場可能とした。

【ガイドライン 5項目の総合的判断で対応決定】
 大会本部では出場校に新型コロナウイルス感染者が出た際のガイドラインが定められている。主催者によると、緊急対策本部で当該校の大会参加の対応決定には、以下の5項目を総合的に判断するという。(1)感染や感染が疑われる人数(2)感染者、感染が疑われる人以外の再検査の結果(3)感染経路(4)感染者や感染が疑われる人とそれ以外の出場校関係者の接触状況(5)その他(陽性の確認時期、地域の感染状況など)。判断にあたっては、チーム内(宿舎入りしている出場校関係者)での集団感染が疑われるか否かを重要視するとしている。

 ▽昨夏甲子園のコロナ感染辞退 8月15日に東北学院(宮城)の選手1人が新型コロナウイルス陽性判定を受けた。他に選手2人、練習補助員1人が濃厚接触者と認定された。11日の1回戦では強豪・愛工大名電(愛知)を5―3で破り、初出場ながら大金星を挙げたが1回戦突破後の検査で判明。大会本部は「個別感染」と判断し、2回戦への出場を認めていたが学校側が17日に「出場によって選手が特定され、将来に影響を及ぼす」と出場辞退を申し入れた。また、同じ17日、宮崎商でも選手など13人の感染、濃厚接触者8人が判明。午前中に同校から19日の智弁和歌山との初戦を辞退するとの連絡を受けた。両校の辞退を受けた不戦勝、不戦敗は大会史上初となった。

続きを表示

この記事のフォト

2022年3月18日のニュース