福島敦彦氏 4強は全て近畿勢、打倒・大阪桐蔭を目標に全体がレベルアップした証拠

[ 2021年8月31日 05:30 ]

<智弁学園・智弁和歌山>健闘をたたえ合う両ナイン(撮影・河野 光希)
Photo By スポニチ

 【総評】第103回全国高校野球大会で、「迫球甲子園」で連日、試合を評論した福島敦彦氏が大会を総評した。

 2年ぶりの開催となった大会は雨による7度の順延、コロナ禍で2校が大会中に出場辞退するなど想定外のことが起こった。選手のコンディション調整も難しかったことは容易に想像できる。

 そんな中、優勝した智弁和歌山は開幕から2週間後に初めて初戦を戦い、6日間で4試合。看板の強打は試合ごとに実戦勘を取り戻して上昇曲線を描き全試合で2桁安打を放った。先制し一度もリードを許すことなく頂点に立ったのは、堅い守りがあったからで2試合に先発し決勝でもピンチの場面で救援したエース中西君は優勝の立役者といっていい。内野手も4試合で失策1。攻守に隙がなかった。就任3年目で選手時代に続く全国制覇となった中谷監督も感無量だと思う。

 初めて決勝に進んだ智弁学園は小坂監督が主将だった95年の4強を超えての準優勝。西村、小畠の両投手に前川君、山下君ら1年時から主力を張った選手が確実に成長した好チームだった。

 今大会は初めて近畿勢が4強を独占。雨の影響で他のチームが練習会場の確保に困る一方で、自校で練習できる有利さは確かにあったが、全国屈指の強豪校である大阪桐蔭打倒を目標としてきたことが、近畿全体のレベルアップにつながった。

 大会を通じては、終盤にもつれる展開が多く、準々決勝3試合を含めサヨナラが8試合、1点差も13試合など僅差のゲームが目立ち球趣を高めた。零封試合が10試合で2桁得点は3試合のみ。地方大会を経験したとはいえ、打者の実戦不足は否定できず「投高打低」の傾向となった。

 気になったのはバントのミス。第1ストライクから決められず攻撃の流れをつかめないケースが多々、見られた。地味な作戦だが改めて重要性を感じた。

 大会運営が難しい中で、球児から元気をもらった大会だった。(報徳学園、慶大、中山製鋼元監督)

続きを表示

この記事のフォト

2021年8月31日のニュース