大谷翔平、日本選手最多32号でゴジラ松井超え!次なる標的はア最多ロジャー・マリスの「61」

[ 2021年7月9日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5ー4レッドソックス ( 2021年7月7日    エンゼルスタジアム )

<エンゼルス・レッドソックス>5回、大谷は日本選手のシーズン最多本塁打記録となる32号ソロを放つ(撮影・沢田 明徳)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(27)が7日(日本時間8日)、レッドソックス戦の5回に決勝32号ソロを放ち、松井秀喜がヤンキース時代の04年に記録した日本選手のシーズン最多本塁打記録をチーム86試合目で更新した。本塁打王争いでは2位との差を再び4本に広げ、驚異のシーズン60本ペース。61年にヤ軍のロジャー・マリスが打ち立てたア・リーグ記録の61本塁打も射程圏に捉えた。

 大谷が恐縮した。今季86試合目で「ゴジラ超え」を果たし、球団を通じて松井氏から祝福メッセージが届いた。「子供の頃からずっと見ていたので光栄。わざわざコメントを頂けるのもうれしい。まだまだ打てるように、期待に応えられるように頑張りたい」。憧れの選手からの一流の気遣いに触れ、グッと表情を引き締めた。

 歴史に名を刻む32号は、苦痛に耐えて打った。2―2の5回。19年に19勝を挙げた左腕ロドリゲスに対し、3球目は自打球が右足首に、5球目は左膝に当たった。いずれも手術歴のある箇所。苦悶(くもん)の表情を浮かべたが、ファウルを挟んだ7球目の内角チェンジアップを右翼席へ運んだ。両足の痛みをこらえ、ゆっくりとダイヤモンドを一周。「結果的に打っているので(自打球の影響は)なかったかなと思う。(配球が)厳しいところに来ているので、その分差し込まれて自打球になる」。日に日に厳しくなる内角攻めを攻略した。

 6月は月間自己最多13本を記録し、7月も6試合で4本。「ストライクを打つというシンプルな状態を維持できれば、必ず良い成績が残る」と話すように、あらゆる球種とコースに対応し、スタンドに運ぶ。要因は一昨年に手術を受けた左膝の不安が消え、筋力強化に成功したことだ。以前は「去年は手術明けであまり力が入っていなかった」と語っていたが、今季は軸足にためた力を一気に解放することで驚異的なパワーを生み出している。

 前日は投手として7回2失点で、日米通算50勝目をマーク。二刀流の負担を考え、今季は試合前の打撃練習は開幕戦を除き屋内で調整している。「外で打つと飛ばしたいとなり、余分な動きが出る」と説明。練習をサポートする水原一平通訳も「振っている時間も量もかなり減っている」と証言する。チーム86試合中、81試合に出場。できるだけベストコンディションで試合に臨むために、練習量の管理も本塁打量産につながっている。

 年間ペースは、1927年のベーブ・ルースと同じ60本。そのルースを61年に抜いたマリスのア・リーグ記録61本も視界に入る。目標の「ゴジラ超え」をクリアし、ここからは過去5人しか足を踏み入れていない「60本」への戦いが始まる。(柳原 直之)

 ≪ルースを更新、脅迫も受けた≫マリスは1961年のシーズン最終戦となる162試合目に27年ルースの記録を更新する61号を放った。しかし、前年にアスレチックスから加入した外様だったこともあり、ファンは途中まで競っていた同僚のミッキー・マントルを応援。マリスは達成を前に「ルースの聖域を汚してはならない」と脅迫も受けた。

 達成後も当時のフォード・フリック・コミッショナーはルースの記録を守るべく、27年当時の試合数である154試合目までに打たなかったことで、新記録は注釈付きと決定。そのため、記録本には91年まで2人の記録が併記されていた。

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2021年7月9日のニュース