四球を出すなら単打の方が…野球の常識を象徴した日

[ 2021年7月9日 09:30 ]

巨人・高梨
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 「四球を出すなら単打の方がまだいい」と野球でよく言われる。安打はなかなか続かないが、そこに四球が絡むと失点する確率が格段に上がるからだ。今季ここまでを見ても、セ・リーグで最多の与四球272のDeNAは失点も最多の375。パ・リーグでも与四球が最多の344の西武が最多の335失点(8日試合前時点)と数字にも表れている。

 そんな野球の常識を象徴する一日があった。6日。ジャイアンツ球場で行われたイースタン・リーグの巨人―楽天戦で巨人投手陣は13安打を浴びながらも、3失点と粘った。楽天攻撃陣はバントミスは一つあったが併殺は0。拙攻とは言えない。巨人投手陣が出した四球は9イニングでわずか1。連打は5回もあったが3連打以上はなく、失点した3イニングいずれも四球が絡まなかっったことで、最少失点で切り抜けられた。

 同じ日に巨人の1軍は四球から失点し、接戦を落とした。2―1と1点リードの8回に2番手・高梨が先頭の代打・郡司を四球で歩かせ、この回2失点と逆転を許した。どんなピンチでも動じず、既に15ホールドポイントを挙げている左のリリーフエースが登板35試合目でまさかの初黒星。宮本投手チーフコーチも「あのフォアボールが、今日のゲームのすべて。やっぱり先頭のフォアボールというのが、試合をどうしても壊してしまう」と指摘した。

 本塁打だけは避けなくてはいけない場面や、ピンチでの満塁策など、点差や状況によっては出していい四球もあり、全てがダメだとはならない。だが、1軍、2軍ともに2桁安打を浴び、2―3で敗戦と同じような試合だったからこそ、その日唯一の1イニング2失点に絡んだ四球が際立った。

 本塁打や好守のように派手さはなくても、守っている選手の士気にも影響する四球は試合の流れを大きく変える。同じ日に行われた2試合からそれを強く再認識した。(記者コラム・小野寺 大)

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2021年7月9日のニュース