西日本工大の150キロ左腕・隅田知一郎が1球に泣く… 毎回14K快投も「あの1球だった」

[ 2021年6月7日 16:19 ]

全日本大学野球選手権1回戦   上武大1―0西日本工大 ( 2021年6月7日    神宮 )

<上武大・西日本工業大>力投する西日本工業大先発の隅田(撮影・河野 光希)
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 直球勝負にこだわったのは、エースとしての意地だった。

 0―0の2回。西日本工大の隅田知一郎(ちひろ=4年・波佐見)は上武大の4番・ブライト健太(4年・都葛飾野)に対して直球を3球続けた。最後の143キロを捉えられ、左中間席に運ばれた。「一球一球が勝負球だと思っていた。あの一球だったのかなと思います」と悔やんだ。

 真っすぐを続けた意図はこうだった。「(ブライトが)一番スイングが強い。4番に対して真っすぐで押せれば、他の打者にもそう思わせられる」。毎回の14三振を奪ったが1点に泣いた。

 持ち球は多彩だ。カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップ、スプリット。「プロで活躍することが目標」と話す左腕は、今春リーグ戦では、カーブ、スライダー、スプリットをあえて封印し勝ち上がった。優勝時には涙を流し「泣かないだろうと思った。みんなうれしがっているところ見たらきつい練習も思い出したら、頑張ってきたことを思い出して泣いてしまいました。普段は表情を出さないんですけど、(波佐見時代に)甲子園いったときも、甲子園で負けたときも泣かなかったです」。仲間とつかんだ頂点が何よりうれしかった。

 全国の舞台で、変化球は全て解禁した。ソフトバンク・永井智浩スカウト部長は「真っすぐの質もいいし、落ちる球がいい」と高い評価を口にした。

 「夏に練習して、さらに上に行けるようにしたい」と隅田。一球の怖さを知った左腕は、一回り大きくなって秋の神宮に戻って来ることを誓った。(川島 毅洋)

 ◇隅田 知一郎(すみだ・ちひろ)1999年(平11)8月20日生まれ、長崎県出身の21歳。小2から「大村クラブ」で野球を始め西大村中では軟式野球部に所属。波佐見では3年夏に甲子園出場。西日本工大では1年春にリーグ戦デビュー。1メートル76、76キロ。左投げ左打ち。 

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2021年6月7日のニュース