阪神・佐藤輝 「輝ノート」効果!新人最速15号は59年桑田武に並ぶ54戦目 交流戦5発は新人最多記録

[ 2021年6月7日 05:30 ]

交流戦   阪神3ー8ソフトバンク ( 2021年6月6日    甲子園 )

<神・ソ>9回、佐藤輝は右中間に本塁打を放つ(撮影・平嶋 理子)
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 またも球史に、その名を刻んだ。阪神ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)がソフトバンク戦の9回に15号ソロを放った。チーム54試合目での15本塁打到達は、新人では1959年の桑田武(大洋)に並んでプロ野球史上最速の快挙。交流戦も5本塁打とし、4本で並んでいた10年長野久義(巨人、現広島)を抜いて新人最多記録も更新した。大敗の中、甲子園の虎党を一振りで沸かせてみせた。

 今年の阪神の試合には、大勢が決していても、球場に残る理由がある。佐藤輝だ。9回に架けた15号アーチは、敗色濃厚の中でもスタンドに残って声援を送る聖地の虎党を沸かせ、喜ばせた。

 「自分のスイングを心掛けて、強く振ろうと思っていました。チームも自分もこのままでは終われない気持ちがあったので、最後に1本打つことができたことはよかったです」

 6点を追う9回1死無走者。1ボール1ストライクから泉の甘く入った139キロツーシームを一振りで仕留めた。打球速度170キロの弾丸は、あっという間にバックスクリーン右に着弾。悠々ダイヤモンドを一周し、ベンチ前で控えめにZポーズを決めた。交流戦通算5本目。肩を並べていた10年長野久義(巨人、現広島)を抜き、新人最多記録を更新。「そこに対しての意識はないですけど、1本でも多くホームランを打ちたいと常に思っているので。そういう意味ではうれしいです」と、うなずいた。

 改めて、プロ野球史上屈指のスラッガーであることを結果で示した。チーム54試合目での15号到達は新人では59年の桑田武(大洋)と並ぶプロ野球史上最速の快挙。その桑田は同年、今も新人最多タイ記録として残る31本塁打を放ち、本塁打王にも輝いている。目下シーズン換算39本塁打ペースで、リーグ2位タイにつける猛虎の背番号8。58年長嶋茂雄(巨人)と桑田に続く、史上3人目の“新人本塁打王”も十分、視界にとらえる。

 プロ入り後に始めた新習慣がある。「みんなノートを持って書いていたんで、ちょっと自分もやってみようかなと、(春季)キャンプぐらいから始めました」。試合中に感じたこと、投手の癖や配球、自らの感覚――。気づいたことを逐一整理し、ノートに筆を走らせる。「プロでは毎日、試合がある。日々の調整や感覚であったり、そういうところをメモを取ることによって、いい方向にいっていると思います」。センスとパワーだけではない。新人離れした結果を残してきた要因は、「輝ノート」にも詰まっている。

 第3打席までは、和田の前に3打席連続で空振り三振。矢野監督からは「前の3打席の中で、攻略の糸口というかそういう所が見られれば、もちろんよかった」と“注文”も受けた。これも大きな期待の裏返し。佐藤輝が追求し、かつ求められるのは、チームを勝利に導く一打だ。(阪井 日向)

 ◇桑田 武(くわた・たけし)1937年(昭12)1月5日生まれ、神奈川県出身。中大から59年大洋(現DeNA)入団。1年目から4番を打ち、新人最多31本塁打で本塁打王、新人王を獲得。61年には打点王で長嶋茂雄(巨)の三冠王を阻止。同年から7年連続で20本塁打以上をマーク。69年巨人を経て70年のヤクルト在籍中に「黒い霧事件」関与の疑いで現役引退。通算1194試合、打率.264、223本塁打、674打点、89盗塁。91年1月21日、くも膜下出血のため54歳で死去。現役時代は1メートル76、87キロ。右投げ右打ち。

 《新人15号は球団3人目》佐藤輝(神)が9回、泉(ソ)から右中間へ15号ソロ。交流戦5本目は10年長野(巨)の4本を抜いて新人単独最多となった。阪神新人の15号は69年田淵幸一、80年岡田彰布に続く3人目の到達。チーム54試合目は59年桑田武(大洋)に並ぶプロ野球新人最速となった。桑田はシーズン31本塁打をマークしており、これは86年清原和博(西)と並ぶ新人最多。58年長嶋茂雄(巨)に続いて獲得した新人での本塁打王は桑田以降出ておらず、佐藤輝に史上3人目の期待がかかる。佐藤輝は目下シーズン39本塁打ペース。5号ごとの所要試合数は(5)17→(10)16→(15)21とややペースダウンだがどうか。ちなみに20号の最速も桑田で、チーム60試合目の到達だ。

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