大谷翔平が両リーグトップタイの7号 さあ3度目先発だ 本塁打トップで先発は100年前のルース以来

[ 2021年4月27日 05:00 ]

<アストロズ・エンゼルス>8回、7号ソロを放った大谷(AP)
Photo By AP

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が25日(日本時間26日)、アストロズ戦に「2番・DH」で出場し、8回に2試合連続で両リーグトップタイの7号決勝ソロを放った。26日(同27日午前9時5分開始)のレンジャーズ戦で今季3度目の先発予定。本塁打トップの選手の先発登板は通算714本塁打&94勝を誇る「野球の神様」ことベーブ・ルースがヤンキース時代の1921年に登板して以来、実に100年ぶりとなる。(ヒューストン・笹田幸嗣通信員)

 大谷はベーブ・ルースと同じ道を歩む。世界を魅了する二刀流での出場は目立つためではない。チームを勝利に導くため。だから決勝弾の味は格別だ。一塁を回ると三塁側の自軍ベンチに左手の人さし指を向けた。珍しく“どうだ”と言わんばかりに喜びを表現した。

 「たぶん投げ損じの直球。変化球かなと思っていたので、ちょっとびっくりした感じでしたけど、いい感じで上がってくれました」

 同点に追いつかれた直後の8回。先頭で打席に入り、2番手右腕L・ガルシアの92・5マイル(約149キロ)外角直球を強振した。打球速度107・1マイル(約172キロ)、飛距離440フィート(約134メートル)の大飛球はバックスクリーン右横の特別席「バドワイザー・シート」へ。チームの連敗を4で止める値千金の決勝7号ソロとなった。

 パワー不足やボールの違いで過去の日本野手が苦しむ飛距離の壁を乗り越え、タティス(パドレス)、アクーニャ(ブレーブス)らに並ぶ両リーグトップの7本塁打。コロナ禍で60試合制だったが早くも昨季の本塁打数に並んだ。チーム20試合消化時点で本塁打トップは日本選手では初で、04年・松井秀喜(ヤンキース)の日本選手最多の31本を大きく上回る56発ペース。ここ5試合で3発を量産し「全体的にいい打席が、何試合か続いています」と手応えを語る。

 試合前は3年ぶりの白星を狙う26日(日本時間27日)の登板に向け2日連続の投球練習で16球を投げた。今季2度目の投打同時出場を志願しているという。ただ22日の左肘死球の影響で主砲トラウトは欠場が続き、控え野手は通常の3人ではなく実質2人。早期降板なら交代要員が不足する恐れがある。そんなチーム状況での「DH解除」は危険だが、絶好調の打撃も打線に不可欠。日米を通じて初めて登板前日に一発を放った大谷についてジョー・マドン監督も「彼を打たせないのは難しい」とリアル二刀流での起用を示唆した。

 本塁打トップの選手の先発登板は1921年6月13日に19本塁打を記録していたベーブ・ルース以来100年ぶり。同戦では白星&2本塁打も記録した。かつて大谷はルースについて「僕の中では神様と同じくらいの存在。野球をやっている以上は少しずつ近づいていきたい」と語っている。偉大な先人も立った特別なマウンド。100年前の「再現」を、誰もが願っている。

 ▽1921年のベーブ・ルース 本格的に二刀流でプレーしたのは19年までで、ヤンキース移籍後の20年からはほぼ打者に専念していた。この年は2試合に投げ、先発は6月13日のタイガース戦の1試合のみ。試合は5回4失点で勝利投手となり、打っては2本塁打3打点の大暴れ。翌年以降は8シーズン登板しなかった。この年は打者としては自身初の200安打超えとなる204安打し、打率・378、59本塁打、168打点で本塁打と打点の2冠。打撃は最盛期と言ってもよい輝きを放っていた。

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月27日のニュース