槙原寛己氏 はまったラミレス監督の賭け 6回、天敵村上前に好投大貫降板で勝負

[ 2020年8月14日 22:41 ]

セ・リーグ   DeNA6―2ヤクルト ( 2020年8月14日    横浜 )

<D・ヤ>力投するDeNA先発・大貫(撮影・沢田 明徳)
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 【槙原寛己 視点】ラミレス監督の賭けが非常にうまい形ではまった。2―1と1点リードの6回2死一塁の場面。4番村上を打席に迎えると、そこまで好投していた先発・大貫をスパッと代えた。

 今季は防御率が1点台で成長を感じさせている大貫だが、天敵の村上だけは話が別だ。この日もここまで右翼線二塁打と右翼席への特大ソロ本塁打。昨季からの対戦成績は9打数5安打の打率・556で4本塁打となっていた。投手にはどうしても“合ってしまう”打者というのが存在する。打たれたくない、と思うほどコントロールミスになる。この日の2本の長打もそんな感じで、他の打者にはストライク先行なのにボールが続きカウントを悪くしてしまい、低めに決まっていたスプリットがいずれも甘く浮き捉えられた。

 逆に村上以外の打者はほぼ完璧に抑えていた。特に続く5番の西浦は2三振で全くタイミング合っていなかった。私は村上には臭い球を投げて四球で歩かせて、西浦勝負と思っていた。ラミレス監督ならば申告敬遠まであるかも、とさえ考えていた。球数96球で、まだまだいけるところ。そこで2番手・国吉を告げて勝負した。

 結果的に大成功。国吉は村上には右前打され一、三塁となったが、続く代打川端を一ゴロに仕留めた。国吉も気分よく明日に臨める。大貫は5連勝で防御率も1・91とより良くなり、疲労も残さず次戦への期待も高まる。あそこで追い付かれていれば試合はまだ全く分からないところだったが、チームとして1勝以上に得るものがある勝負手だった。

 大貫が今年いいのは力まずに投げられていること。ひょうひょうと緩いフォームで148キロが投げられる。打者が最も打ちにくい球を挙げるなら、キャッチボールのような感じで150キロを投げられたらまず打てないと思う。それに近いものを感じる。そしてシュート気味に曲がり、低めにいったなら沈むツーシームと、フォークより握りの浅いスプリット。直球と合わせて、140~148キロの球速帯で3種類の変化を操れる。打者は見分けがつかないと思うし、だから手が出て空振りやゴロが増える。

 またヤクルト戦に投げる機会があれば、次こそ村上を抑えてほしい。真の柱になれる可能性がある。今永、平良とDeNAはいい先発投手がそろってきた。巨人追撃には先発投手がそろうことが先決。ここからの追い上げがペナントレースを面白くさせてくれそうだ。(本紙評論家)

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