巨人 増田大の“神足”が今季初のサヨナラ勝ち呼んだ!迷いなし二盗「100%決められる自信があった」

[ 2020年8月14日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人4―3ヤクルト ( 2020年8月13日    東京D )

<巨・ヤ>9回無死一塁、二盗を決める増田大(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 巨人が13日のヤクルト戦で今季初のサヨナラ勝ちを飾った。サヨナラへの球場の空気をつくったのは3―3の9回無死一塁で代走で登場した増田大輝内野手(27)だ。二塁盗塁に成功し、相手に重圧をかけると、2死一、三塁から亀井善行外野手(38)の中前打を呼んだ。6日の阪神戦での救援登板が大きな話題となったが、本業の「代走のスペシャリスト」として勝利をもたらした。

 勝負は始まる前から決していたのか。実際、増田大は「100%決められる自信があったので走った」と振り返る。言い切れる根拠を「逆算」したい。

 サヨナラの走者として一塁に送り出された9回。代走に観客が沸き、雰囲気が変わる。何かが起こる予感こそ、相手バッテリーへの脅威となる。「(声援は)力になりますし、力になった」。相手投手は前日も登板した大下。ベンチにいた増田大は、走塁のイメージを膨らませながら見つめていた。2軍時代から「野球ノート」をつける。対戦した投手のデータや、自身の気づきがみっちりと書き込まれている。

 けん制は計3球。1球は滑り込むことなく、2球は頭から滑り込んだが悠々と帰塁できた。一塁にくぎ付けにされるほどの精度ではなかった。初球を外し、カウント「1ボール」。ストライクを欲しがる投手の意識は打者に向き、走者への警戒は薄くなる。投球モーションの始動は左足だ。2球目でスタートを決断。二塁のはるか手前でセーフを確信するほど見事だった。

 若林の一ゴロで三塁に進むと、代打・亀井のサヨナラ適時打で生還。「ヨッシャー」と叫び喜びの輪に加わった。代走で出場後に盗塁を決めて生還したのは5度。その5戦とも勝利につながった。

 6日の阪神戦。巨人の野手登録選手では2リーグ制後初めて登板した。この日、中大に7―20で大敗した阿部2軍監督は「次は、増田大を借りる」と話し、11四球19被安打のファーム投手陣を叱咤(しった)した。10盗塁に到達。チームの中でその存在感は高まっている。

 支配下登録が決まった17年7月。徳島に子供と共に残した妻・優香夫人には、電話で報告をした。「ありがとう」と何十回も言いながら泣き、震える妻の声に「俺の方こそありがとう」と応えた。その時には、1軍に欠かせない存在になるストーリーを「逆算」できていただろうか。

 「スーパーサブの番号」という思いを込めて今季から背番号「0」を背負わせたのは原監督だった。「どんな1勝でも大きい。非常に大きな1勝」とした勝利に、増田大が導いた。(神田 佑)

 ≪増田大 代走→盗塁成功→生還は全て勝利≫増田大(巨)が代走から二盗を決め、その後、決勝のホームを踏んだ。増田大の代走起用は今季19試合目。代走からの盗塁成功は8度目となった。そのうち生還した5度の試合でチームは全て勝利している。

続きを表示

2020年8月14日のニュース