東海大甲府・渡部 場外決勝弾!衝撃通算21号「一番の感触でした」山梨学院の5連覇阻止

[ 2020年8月14日 05:30 ]

山梨大会・決勝   東海大甲府5―4山梨学院 ( 2020年8月13日    山日YBS )

<東海大甲府・山梨学院>7回1死、ガッツポーズするチームメートを背に右越えに決勝のソロ本塁打を放った東海大甲府・渡部(右)(撮影・西海健太郎)
Photo By スポニチ

 都道府県高野連が独自に開催する代替大会は13日、全国で26試合が行われた。山梨は決勝が行われ、東海大甲府が山梨学院を下して15年以来5年ぶりに優勝。同点の7回に主砲の渡部海夢(3年)が右翼場外に特大の決勝弾を放った。

 はるかかなたまで飛んでいく打球を見つめ、渡部は誇らしげに右拳を天に突き上げた。

 「本当にうれしい。ホームランは狙っていなかったけど、つなげばなんとかなると思った。(3年間で)一番の感触でした」

 4―4で迎えた7回1死。主砲は左腕・宮下龍希(2年)の投じた甘い直球に反応した。打球は両翼92メートルの球場の右翼後方の林へ。「場外は見たことがない。(中日の高橋)周平よりも凄い」と数多くのプロ選手を輩出してきた村中秀人監督も目を丸くした高校通算21号の決勝弾だ。昨年までの4年間で3度も決勝で敗れ、夏4連覇中だった“絶対王者”の息の根を止めた。

 兵庫・宝塚リトルリーグ時代から一度もスイングを変えたことがない。同チームの監督でヤクルト・山田哲を育てた李相鎬(リソウコウ)監督の「下半身で打て。上半身の力はいらないぞ」という教えを忠実に守ってきた。恩師からは前日に電話で「最後、目立ってこい!」と背中を押され、有終の美を飾った。

 甲子園大会の中止が決まった際はなかなか食事が喉を通らなかったが「先の大きな夢がある」と自らに言い聞かせ、切り替えた。兵庫県内の実家に帰省していた約3カ月間も朝6時からランニングや素振りを実施。野球漬けの日々を送った。

 「練習も手を抜くことがない」と村中監督も賛辞を惜しまない男は試合後に仲間から胴上げされた。「夢は海を渡ってほしい」と壮大な願いを込め「海夢」と命名された。すでにプロ志望届を提出。夢に手が届く。豪快弾を見届けた全ての人が、確信したはずだ。(花里 雄太)

 ◆渡部 海夢(わたべ・かいむ)2002年(平14)7月29日生まれ、兵庫県宝塚市出身の18歳。小学2年から宝塚リトルリーグで野球を始め、中学時代は大阪福島シニアでジャイアンツカップに出場した。東海大甲府では1年秋からベンチ入り。1メートル78、84キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2020年8月14日のニュース