来春閉校、ラストチャンスが…北北海道・江陵、谷本監督「もう1回、俺らの甲子園を目指そう」

[ 2020年5月21日 05:30 ]

球児たちの特別な夏

夏の甲子園大会中止を受け、寮で選手に話をする江陵の谷本監督(右端)
Photo By スポニチ

 今春のセンバツに続き、数々のドラマを生んできた夏の風物詩も中止に。来春に閉校となる北海道の江陵高校は、3年生のみの部員20人で最初で最後の甲子園を目指していたが、その夢は絶たれた。ただ、花道となる「最後の舞台」はきっと訪れる。スポニチは「球児たちの特別な夏」を応援します。

 ラストチャンスは戦う前に消えた。来年3月に閉校する江陵(北北海道)の谷本献悟監督(39)は寮でミーティングを開いた。部員は3年生のみの20人。寮に残っていた7人と、自宅からウェブ会議システム「Zoom」で参加した13人を前に「毎日バットを振って、最初で最後の甲子園行くってみんなで頑張ってきて…。でも、行けなかった」と声を詰まらせた後、すぐに前を向いた。

 「おまえらの人生は終わらないし、俺とおまえらのつきあいも終わらない。だから、ここでもう1回、俺らの甲子園を目指そう!」

 選手は静かにその声を聞いた。閉校のため最後の代と知りながら横浜から野球留学してきた尾崎太郎主将(3年)は「この高校を選んで正解だった。この経験をどう生かすかで人生が変わる。前を向いて強く生きていきたい」と気丈に話した。

 昨秋の北海道大会を制した白樺学園に十勝支部予選で5―7と敗れながらも善戦。3月末の道外遠征が中止になってからも、今夏に懸けてきた。その目標はなくなったが、独自の地方大会開催が行われると信じる。「(地方大会で)北海道チャンピオンになれば、来春、(救済策などで)甲子園で試合ができるかもしれない。何が起こるかは分からない。だから卒業まで引退はないよ。新たな目標を見つけてやっていこう」と呼び掛けた。

 仮に地方大会がなくても、谷本監督はつながりのある数校で「模擬大会」をつくり、最後の舞台を用意する考えだ。尾崎主将は「監督を甲子園に連れていって男にするという気持ちは変わらない。大会があれば、教わったことを全力でやりたいと」と話した。(石川 加奈子)

 ▽江陵 1946年(昭21)に池田服装裁断学院として開校し、野球部は池田西と改称して男女共学になった64年に創部した。85年から現校名。普通科と福祉科があり、全校生徒は3年生のみ102人(うち女子36人)。野球部の過去最高成績は16年夏の北北海道大会4強で、OBには古谷優人(ソフトバンク)がいる。所在地は北海道中川郡幕別町依田101の1。若宮栄校長。

続きを表示

2020年5月21日のニュース