八田会長、球児たちへエール…メッセージ全文

[ 2020年5月21日 05:30 ]

夏の甲子園、地方大会中止

甲子園球場外観(撮影・後藤 正志)
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 日本高野連は20日、新型コロナウイルスの影響が各地に広がる中、オンラインで第102回全国高校野球選手権大会の運営委員会と理事会を開き、8月10日から予定していた夏の甲子園大会と、その出場権を懸けた地方大会の中止を決め、発表した。

 【日本高野連・八田会長メッセージ全文】
 入学以来、勉学の傍ら、晴れの舞台・甲子園での活躍を夢見、チームメートと汗を流し、白球を追う毎日を過ごされた球児の皆さんの研鑽(けんさん)努力にまず敬意を表します。厳しくも充実した練習が肉体的にも精神的にも、皆さんに大きな成長をもたらしました。夢の実現に手を貸し、全人的な成長を願うことこそ学校教育の一環たる高校野球を所管する日本高校野球連盟の使命です。輝くような若人の躍動の姿は私たちの無上の喜びなのです。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言が発出されました。一部では解除されましたが、社会活動の再開はいまだ予断が許されない状況です。慎重な情勢判断の結果、第102回全国高校野球選手権大会の開催中止の発表に至りました。学校教育の一環を旨とする限り、皆さんの心身の健全な発育と安全が最重要課題です。これが担保されるという確信が持てないことが中止の理由です。しかも練習活動には地域差があり、満足に練習できるチーム、できないチーム、全国の部員がベストコンディションで、かつフェアな条件で試合に臨めるとは言い難い状況です。

 開催中止は皆さんにも、そして高校野球をこよなく愛する方々にも痛恨の極みでしょう。特に3年生部員にとって、部活動の集大成の場が奪われることは筆舌に尽くしがたく、心が折れる思いかもしれません。運命的な悲しい事象ですが、落胆しないでください。皆さんが甲子園を目指した球児という栄冠は永遠に輝いています。哲学者モンテーニュは「運命は我々に幸福も不幸も与えない。ただその素材と種子を提供するだけだ」と述べています。更なる次の目標を設定し、これまでの練習や試合で身につけた自信と誇りを胸に新たな第一歩を踏み出して下さい。

 かつて一世を風靡(ふうび)したアメリカのプロテストソングに、「We shall overcome」(勝利を我らに)がありました。新型コロナウイルスに人類が打ち勝つことを、そして皆さんが自らの心の揺らぎに打ち勝ち、明日に向かって挑戦されることを信じています。

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