西部ガス・大畑 21世紀生まれの高卒ルーキー 合格デビュー

[ 2020年3月4日 09:43 ]

JR東日本とのオープン戦でデビュー、1回無安打無失点に抑えた西部ガスの新人右腕・大畑
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 21世紀生まれの高卒ルーキーが合格デビューを果たした。社会人野球のシーズン到来を前に、九州・沖縄のJABA(日本野球連盟)加盟チームは順調に調整中。昨年5月の九州大会を制した西部ガスは、昨春センバツで4強入りした大分・明豊高出の大畑蓮(18)が2月のオープン戦で初登板し、1回無安打無失点。2001年生まれの146キロルーキーが鮮烈なデビューを飾った。

 身長1メートル85の大器らしい堂々とした初陣だった。2月27日、都市対抗優勝もある強豪・JR東日本戦。大畑は2―3で迎えた7回に登板。先頭の1番・杉崎(東海大)には3―1からサインに首を振る間に「12秒ルール」を適用されていきなり四球を与えた。JABAのスピードアップマナーを知らず「高校にはないルールなので何が起こったのか分からなかった」と初体験にどぎまぎ。それでも持ち前の強心臓と冷静さで続く金子(白鴎大)は遊飛、3番・佐藤(立大)は一ゴロ(二塁封殺)に切り、佐藤の二盗失敗でチェンジ。「初めての実戦で走者を背負ったが落ち着いて投げられた。3人で抑えられてよかった」と大卒新人の上位トリオに二塁を踏ませず無安打に抑えて胸を張った。

 大分・明豊高3年だった昨春のセンバツ甲子園では横浜との初戦に4回から登板して6回1失点8奪三振の好投を見せるなど全4試合に救援登板。準決勝の習志野戦では最速146キロを記録した。秋のドラフトでは「今の力では指名されても下位。じっくり力をつけて上位指名でプロに行きたい」とプロ志望届は出さず、3年後のドラフトを見据えて社会人入りを選んだ。

 大畑は緩急を巧みに操る多彩な投球が強みだ。「自分ではパワーより器用さが特徴と思う」。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリット、高3夏前に習得したカットボール、社会人入りして覚えたツーシームを投げ分ける。JR東とのオープン戦では落差の大きいスライダー、鋭いカットボールが有効だった。

 西部ガスの香田誉士史監督は「プロ入りも含めてレベルの高い投手が多くいる世代。チームには久々の高卒投手だが即戦力として評価しているし大きく育って欲しい」と期待を寄せる。BFAアジア選手権日本代表の山田をはじめ村田、花城、立石、さらに2年目の高椋、江口ら右の好投手が揃う西部ガスにまた1人、好素材が加わった。「まずは社会人で通用する体力、技術を身につけて球速も150キロ台に届かせ、最終的には155キロ前後を目指したい」。大型ルーキー右腕が社会人の舞台に飛び出す。

 ◆大畑蓮(おおはた・れん)2001年11月26日生まれ。大分県出身。18歳。別府市朝日小2年で軟式野球チームに入部。明豊中では軟式野球部所属。明豊高2年春からベンチ入り。2年夏に先発も経験。その後右肩を痛めるが秋に復活。3年春の甲子園は背番号10で4強入り。1メートル85、74キロ。右投げ右打ち。

 ○…西部ガスもう1人のルーキー、重田は佐賀西出身。「社会人一本に絞っていた。西部ガスは地元企業だし環境も整っている」と張り切る。同じ佐賀出身で3学年上の浜口遥大(三養基―神奈川大、DeNA)にあこがれ神奈川大に進み、3年秋には神奈川大学リーグで4勝し、防御率1・35、最優秀投手に選ばれた。「大学選手権の大きな舞台も経験していて、いい変化球を持っている」と香田監督は左の即戦力として期待を掛ける。

 <九州・沖縄主なJABAチーム新戦力>
 JR九州の足立直は1メートル72と上背はないが力強い直球と変化球の緩急でタイミングを外し、三振を奪う右腕。長崎・創成館で15年夏の甲子園に出場した鷲崎淳は18年神宮大会で近大の4強入りに貢献した。高校時代に左ひじの疲労骨折で野手転向した経験を持つ。昨夏の宮崎県大会で1試合17三振の大会タイ記録を作った宮崎第一の左腕・川島大志も加わる。

 Honda熊本は亜大で16年大学野球選手権8強の山中卓弥、16年神宮大会と17年大学選手権で4強入りした上武大の宮川海斗、昨春の神奈川大学リーグベストナインの江崎大輔らが入社した。

 九州三菱自動車には149キロ右腕の仏教大・福森建ら5選手が加入。熊本ゴールデンラークスは昨秋の九州六大学リーグで本塁打、打点など4冠に輝いた水本大志をはじめプロ注目の149キロ左腕・石森大誠、真颯館出身で速球投手の武内未来ら10選手が加わった。

 宮崎梅田学園は神奈川大の141キロ右腕、横山尚輝、13年夏の甲子園準Vの延岡学園出の岡田友輝らが加入。沖縄電力には17、18年神宮大会8強の九共大から山城悠輔、当山昇平の両右腕が新たに入社した。

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2020年3月4日のニュース