【市川いずみの届け夏エール】宇和島東・中島大斗君 地元に勇気届けた「今までで一番の声」

[ 2019年8月13日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第7日2回戦   宇和島東3―7宇部鴻城 ( 2019年8月12日    甲子園 )

<宇部鴻城・宇和島東>宇部鴻城に敗れ、初戦敗退と成った宇和島東ナイン (撮影・平嶋理子)
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 宇和島東・中島大斗君は「地元に元気を与えたい」と苦難を乗り越え、甲子園にやってきました。

 「今思い出してもショックです」

 昨年夏の西日本豪雨で地元の愛媛県宇和島市吉田町は大きな被害を受けました。町内で11人が亡くなり、中島君の自宅も1階が浸水する半壊状態に。1年たった今も両親と学校近くに仮住まいしています。練習の合間に時間があると吉田に戻り「暑い中、土砂をかき出しました」と復興作業を手伝いました。

 「自然豊かでみんなが声をかけてくれる吉田が大好き」。兄と家の前でキャッチボールをしているといつも声をかけてくれる夫婦がいました。「野球頑張ってね!」。その声は今は聞くことができません。祖父・石雄さんが営むみかん農園も被災し「甲子園での姿が恩返し」と、右肩を痛めながらブルペン捕手として後輩投手を送り出しました。

 出場機会はありませんでしたが、ベンチから身を乗り出して「今までで一番の声を出した」という中島君の姿に地元の人はきっと勇気をもらったはず。「みかん、おいしいんですよ」。将来は祖父の農園を継いで吉田を有名にする――。夢舞台で新たな夢を誓いました。

 ◆市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し、自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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2019年8月13日のニュース