大谷の復帰全5打席 元レイズ岩村明憲氏が分析「序盤は振り遅れも…実りある復帰戦」

[ 2019年5月9日 08:00 ]

ア・リーグ   エンゼルス5―2タイガース ( 2019年5月7日    コメリカ・パーク )

<エンゼルス・タイガース>復帰戦で勝利、チームメートを迎える大谷(右端)
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 大谷の復帰戦全5打席を、元大リーガーで現在は独立リーグのルートインBCリーグ・福島で球団社長兼監督の岩村明憲氏(40)が分析した。同じ右投げ左打ちで、岩村氏もヤクルト時代のプロ1年目オフに右肘の遊離軟骨除去手術を経験した。安打こそ出なかったものの、打席ごとに修正し内容を高めたと指摘。打者としての完全復活へ、実りある復帰戦と評価した。

 本人は安打が出なくて悔しいかもしれませんが、打席を追うごとに確実に内容が良くなっていきました。得るものがしっかりとあった復帰初戦だと思います。

 序盤はファウル、空振りともに振り遅れに近いものがあった。どうしても実戦不足の感が否めませんでした。左投手のスライダー中心の攻めに、体の開きも早く感じました。

 ただ、4打席目に右投手と対すると、試合の中で課題は修正されていました。三塁ライナーは外寄りの球を逆らわず、きちんと捉えた打球。次の5打席目で左投手に戻り、どうかなと見ていましたが、四球を選び見極めはきちんとできていました。

 私もプロ1年目オフに、じん帯ではありませんが、右肘のネズミ(遊離軟骨)を取る手術をしました。右投げ左打ちの、右手の感覚というのは本当に大事なところ。当時はチェンジアップやフォークなどの変化球で、抜かれて右手が伸びる時の怖さを抱えて調整していました。3打席目の外角スライダーへの空振り三振は、まさにそういう形。でもその後の表情など、痛そうなそぶりは全くないので安心しました。今は一つ一つの動作を確認しながらプレーしていく段階。公式戦で記録も残るわけですが、動きを確かめ、感覚を取り戻すための打席はあってもいいと思います。

 あとは翌日の反応でしょうね。右肘も含めて、練習ではできても、試合では違った筋肉を使います。試合の中で、体がどういう反応をみせるか。そこも日々確認が大事です。

 何よりもチームが勝てたのが一番だと思います。本人もチームのことを心配し、どう勝利に貢献できるか考え抜いていたはずです。4、5打席目のような内容のある打席を重ねれば、結果が出るのは時間の問題です。翌日にでもいい結果が出そうな気さえしますね。

 ◆岩村 明憲(いわむら・あきのり)1979年(昭54)2月9日生まれ、愛媛県出身の40歳。宇和島東から96年ドラフト2位でヤクルト入団。07年からデビルレイズ(現レイズ)でプレーし、08年に球団初のワールドシリーズ進出に貢献した。パイレーツ、アスレチックスを経て11年に楽天で国内復帰。ヤクルト、BC福島を経て17年限りで現役を引退した。日米通算1602試合で1585安打、打率・284、209本塁打、732打点。

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