“天理のバレ”神野 2打席連発 甲子園で自身初の大暴れ

[ 2017年8月14日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第6日・2回戦   天理6―0大垣日大 ( 2017年8月13日    甲子園 )

<天理・大垣日大>4回1死、神野は左越えに2打席連続となる本塁打を放つ
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 一塁ベースを回ると、右の拳を高々と空に突き上げた。先頭打者で迎えた2回。天理・神野は外の直球を豪快に仕留めた。「今までで一番」という会心の一撃は、弾丸ライナーでバックスクリーン右へ。「打った瞬間、いったと思いましたが、まさかあそこまで飛ぶとは」と目を丸くした。

 これで終わらないのが4番だ。4回の第2打席。今度は高め直球を左中間席へ放り込んだ。自身初の2打席連発。86年夏に主将として初の全国優勝を成し遂げた中村良二監督も現役時になし得なかった快挙だ。「監督を超えることができました」と笑った。

 名門を背負う4番に指揮官は時に厳しく接してきた。3月の練習試合。内角球をよけると、怒声が飛んできた。「4番が内角をよけて勝てるわけないやろ」――。技術面ではトップをしっかりつくること、軸足とヘッドの使い方を叩き込まれてきた。優勝した86年夏のスコアブックを見て鍛錬を積んできた。

 15年の入寮時にバレンティンと名付けられた。日焼けした精かんな顔つき、目の横にある特徴的なほくろがヤクルトの助っ人を想起させる。背筋力200キロ。スイングスピード125キロ。屈強な体がパワーを生み出す。

 15年夏は1年生で唯一先発。無安打に終わり、消極的な守備が敗戦につながった。「自分が3年生の夏を終わらせてしまった。取り返したい」。座右の銘は『きっと、うまくいく』。お気に入りのインド映画のタイトルだ。うまくいくどころか「出来過ぎ」の大活躍。27年ぶり夏の頂点、夢の高校ジャパン入りへ4番が走り出した。(吉仲 博幸)

 ≪谷口(神戸国際大付)に続いた≫天理の神野が大垣日大戦で2打席連続本塁打。夏の甲子園の2打席連続本塁打は前日12日の谷口(神戸国際大付)に続き33人目、35度目。2日連続でゲーム2打席連続本塁打が出たのは85年8月20、21日に清原(PL学園)、00年8月13日に中井(鳥羽)、14日に大場(仙台育英)が記録して以来3度目となった。

 ≪プロ出身監督4人目の白星≫87〜96年近鉄、97年阪神でプレーした天理・中村良二監督が甲子園初采配で勝利。プロ出身監督の甲子園勝利は、高校教職を経て資格審査に合格すれば指導者になれる制度が導入された84年以降では後原富、佐野心、楠城徹に次ぎ4人目となった。13年には教諭経験がなくても研修で学生野球資格を回復できる制度が誕生。プロ出身者が指導者として活躍する可能性が広がった。

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