ライバル社の雑誌だけど…復活を願わずにはいられない“甲子園女子のバイブル”

[ 2017年6月9日 09:30 ]

 のっけから同業他社の話になってしまうが5月29日、衝撃的な知らせを聞いた。高校野球雑誌「輝け甲子園の星」が休刊になったというのだ。同誌は日刊スポーツ出版から75年に創刊された。書きのイラストや細かいデータが満載。スター球児の写真も多く並べられていることから「高校野球版Myojo」とも言われた。甲子園ではこの雑誌を手に熱心に甲子園練習から見学している女の子をたくさん見かけた。

 実は筆者も愛読していた。普段の堅苦しい取材では聞けないような、チームで流行っていることや言葉、食べ物などなどとにかく情報量がすごい。さらに甲子園大会後の号で密かに楽しみにしていたのは「事件簿」。選手としてひたむきにプレーする姿とは一転、仰天エピソードや宿舎での出来事がつづられており、笑いすぎて涙を流して読んだこともあった。ビジュアル系の見た目とは裏腹に、読み物として純粋に作り手の熱意が伝わってくる雑誌だった。

 同誌の編集に尽力された方々はいつも現場で丁寧に取材されていた。ポップな作りがゆえに、取材交渉に苦労されたこともあったと聞く。それでも読者のために限られた時間の中で取材し、ページの隅々まで情報を行き渡らせる姿勢に感銘を受けた。

 日本高野連には女性理事が誕生し、全日本野球協会にもまもなく女性理事が就任する方向だ。プロ野球も女性ファンへのサービスが拡大している。もっと女性にも野球に興味を持ってもらおうという風潮の中、休刊が本当に惜しまれる。出版不況の中、やむを得ないのかもしれない。しかし、復刊を願ってやまない。(記者コラム・松井 いつき)

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2017年6月9日のニュース