侍ジャパン世界一奪還へ必要なもの イチローも称えた“栗原の精神力”

[ 2016年12月21日 09:30 ]

2009年3月、WBC日本代表に合流し、イチローと談笑する栗原(右)
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 来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンの28選手のうち18選手が、12月20日に先行して発表された。小久保監督が「代表に呼ぶ選手はできるだけ早く伝えてあげたい」と話していた通り、内定した選手は、本番を見据えてオフの自主トレに臨むことができる。気持ちの面でも、3月にピークを持って行くことができるだろう。

 最終メンバー28選手の登録期限は来年2月6日。メジャーリーガーの参加の可能性がある中、国内選手は残り10枠を目指すことになる。2月1日から始まる各球団の春季キャンプでは、候補選手の調整のペースに配慮す必要がある。侍ジャパンに選ばれる可能性がある選手は、早めに仕上げなければならないからだ。投手ならWBC公式球で投げ込んだり、第1クールから打撃投手を務めるケースも出てくるだろう。

 小久保監督は2月の代表合宿は28選手で行う方針を示している。過去3大会は、合宿でメンバーを絞り込み、直前に数人が代表から落選してきた。28選手での合宿では故障などのアクシデントが心配されるが、個人的には賛成だ。合宿に集まった時点で、全員が同じ方向を向いてスタートできるからだ。

 落選で思い出すのは、09年の栗原健太選手だ。当時は広島に在籍していた大砲は、宮崎合宿最終日に代表メンバーから漏れた。にも関わらず、その後、室内練習場に移動し、黙々と打撃練習をこなしたのだ。肩を落として各チームに戻っていく選手を多く見てきたが、いつも通りに居残り練習をこなす姿に、イチローら同僚が「信じられない」と声を揃えた。

 大会中に村田(当時横浜)が故障し、栗原が米国で侍ジャパンに合流した。韓国との決勝戦では、スタメンで起用された。ノーヒットに終わったが、チームは世界一になった。「自分がここにいるのが信じられないが、村田さんの分までやろうと思った」というコメントに、精神力の強さを感じた。

 28選手だけが侍ジャパンではない。11月の強化試合を含め、これまでに日の丸を背負った選手はもちろん、2月6日まではさまざまな選手にチャンスがある。場合によっては追加招集のケースもある。「栗原の精神」を持つ選手が増えれば、アクシデントにも動じない、最強のチームができると思う。(記者コラム・川島 毅洋)

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2016年12月21日のニュース