快調ハムの好ムード演出、面白すぎる新垣のこん身ギャグ

[ 2016年8月1日 10:00 ]

新垣(手前)のギャグに失笑する大谷(右)ら日本ハムナイン

 日本ハムの中継ぎ右腕・新垣勇人が面白い。通称「カキさん」。チームNo・1の人気者だ。今季、全体ウオーミングアップ前にナイン全員の前で一発ギャグを披露するのが恒例行事。6月25日に1軍昇格し、7月29日に出場選手登録を抹消されるまで全試合前にやり通したが、羞恥心を捨てたこん身のギャグは破壊力満点だ。

 ある時、倖田來未のヒット曲「キューティーハニー」の替え歌で「♪抹消しないで、ジョニー!」と絶叫した。「ジョニー」とはもちろん黒木投手コーチのことで、1軍生き残りを懸ける30歳右腕の自虐ネタにナインは大爆笑だ。また、前回登板から中11日も空いた7月20日の楽天戦(帯広)の前には尾崎豊のヒット曲「卒業」の替え歌で「♪中11日からの~、卒業!」と叫び、こちらも大ウケ。その効果あってか、この日は久々に登板機会に恵まれ、最終回を3人で片づけて勝利に貢献した。

 なぜ毎日、一発ギャグをやるのか。プロ4年目。8月1日時点で通算わずか9試合登板の新垣は「雰囲気が良くなればいいよね。あと、チームになじむことも大事だから」と真面目に話す。チームは交流戦終盤から球団新記録の15連勝を飾るなど破竹の快進撃を見せ、首位・ソフトバンクを猛追している。同学年の宮西は「あいつがスベると大勝、ウケると接戦になる」と笑うが、新垣が昇格してからチームは勢い付いた。

 「移動日を挟むといいけど、ナイター翌日のデーゲームはきつい。その時はスベる覚悟でいく」と苦労を語る新垣は、どこかうれしそう。試合後、宿舎などに戻ると30回以上、ギャグの練習を繰り返すこともあった。最初は投手陣限定だったが、評判はいつの間にかチーム全体に波及。「(田中)賢介さんが気に入ってくれている。バースなんか日本語が分からないのに“もう一丁、もう一丁”って言ってくるんだよね」。今やチームに欠かせぬムードメーカーだ。

 「(武田)久さんからは“本業(野球)で頑張れ”と言われているんだよね」と苦笑いするが、肝心の投球でも結果を残した。7月28日の西武戦(西武プリンス)で先発・斎藤の2番手で登板し、4回1/3を1失点に抑える好救援。「ロング(救援)のスペシャリストになってほしい」と話す栗山監督の期待通りの働きだった。先発並みの球数(62球)を投げたため次カードで登板できず、同29日に出場選手登録を抹消されたが、連戦が続く8月を見据えたもので、休養後は再登録される見込みだ。

 ちなみに、新垣はツイッターもかなり面白い。おすすめはディズニー映画「リロ&スティッチ」のスティッチの物まねを動画撮影したもの。思い切りの良さに頭が下がる。「甥のお使い」をツイートしたものは9万以上もリツイートされるなど野球ファン以外からも大きな反響を呼んだ。

 ゴールデンボンバーのヒット曲「女々しくて」の替え歌で「♪勝ちすぎて、一発芸、やりすぎて、ツライよ~」と嘆いた日もあったが、「この度胸がマウンドでも役立っているのかな」といたずらっぽく笑う。記者も、そしてきっとナインも、「カキさん」が1日でも早く1軍に再合流し、チームに再び勢いをもたらすことを期待している。(記者コラム・柳原 直之)

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