個性あふれる「登場曲」 感謝、ノリ、かぶらない…こだわり様々

[ 2016年5月5日 11:00 ]

ヤクルト・山田の「登場曲」はGreeeenの「遠くの空 指さすんだ」

 球場を彩る演出にはさまざまなものがある。その中で、チームや選手の個性が出るのが「登場曲」ではないだろうか。投手ならマウンドに上がるとき、野手なら打席に入るときに流れる曲は、選手自身が選び、戦いに向けての気持ちを高めている。

 先日、神宮球場を訪れるとヤクルト・山田の登場曲が変わっていた。山田がファンであることを公言している男性4人組Greeeenが作詞作曲を手掛けて提供した「遠くの空 指さすんだ」。爽やかな歌声が本拠地を包み込んでいる。

 では、ヤクルトの選手はどのように登場曲を選んでいるのだろうか。今年からSMAPの「ありがとう」を使用している中村は「思い出の曲で意味のある曲だから」と教えてくれた。毎年、シーズン前に愛美夫人とともに考えるが、14年12月に挙げた結婚式のエンドロールで使用したのが「ありがとう」だった。「お世話になっている方、いつも応援してくれるファンの方、いろんな方へのメッセージを込めている」という「深イイ」理由があった。

 「いい曲があれば変えていく」と話す荒木は今、Taylor Swiftの「New Romantics」で打席に入る。Taylor Swift好きでもあり、フジテレビで放送されている「テラスハウス」好きで毎週見ているという。同番組の主題歌になっている1曲は、まさにピッタリの歌だ。

 昨季から同じ曲を使う選手らにも、それぞれのこだわりがある。秋吉が使っているのはSEitaの「No.1」。足立新田野球部の1学年先輩で、歌手として活動しているSEitaから「曲を作るので使ってくれないか」と打診されたことがキッカケだった。縦読みすると「あきよしりょう」となるこだわりの歌詞がポイント。「他人とかぶることがないし、ファンの人もいい曲だと言ってくれる」と秋吉もお気に入りだ。

 盛り上がる曲が多い中、美しい旋律を奏でるのがSEKAI NO OWARIの「スターライトパレード」。今浪の登場曲だ。14年開幕直後に日本ハムからトレード移籍。バタバタと1軍に昇格したときに登場曲を選ぼうとしたが、そのときiPadを買いたてで「曲が全然入っていなかった。選択肢が尾崎紀世彦か吉幾三かSEKAI NO OWARI」と、かなり偏った状況だった。しかし「神宮という屋外球場、ナイターが多い。そう思ったときに合うんじゃないかな」とこの曲を選び、現在まで使い続ける。さらに細かいこだわりもある。同僚には「盛り上がるサビの部分を使えよ」と言われながら、使い続けるのはイントロ部分。「“イントロドン”というものがあるくらい、音楽にイントロは大事。各アーティストの色が出る。だから今年もこれでいく」と強気な姿勢を崩さない。

 何はともあれ、登場曲には選手の思いが込められている。マウンドに上がるとき、打席に入るとき、その後ろで流れている音楽にも注目だ。(記者コラム・町田 利衣)

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2016年5月5日のニュース