阪神・横山プロ1勝 14年ドラ1左腕、鬼門ナゴヤDで虎今季初白星

[ 2016年5月5日 05:30 ]

<中・神>横山は7回無失点でプロ初勝利を挙げウイニングボールを手に笑顔でガッツポーズ

セ・リーグ 阪神9―0中日

(5月4日 ナゴヤD)
 両親が、友が、そして故郷・山形が、祝福だ!阪神・横山雄哉投手(22)が4日の中日戦(ナゴヤドーム)に先発し、7回無失点でプロ初勝利をマークした。山形の小さな町から厳しいプロの世界に飛び込んだ2年目左腕が超変革の波に乗り格別の白星。昨季からの“鬼門”ナゴヤドームでのチーム連敗を6で止めた。

 敵地での躍動は、支えてくれた人の胸に届いたはずだ。横山は緩急を生かした投球にカーブ、スライダー、フォークなど変化球のキレもさえ、中日打線を手玉に取った。唯一のピンチと言えそうな4回無死二塁もビシエドを空振り三振など中軸を封じた。プロ初勝利に自然と頬は緩んだ。

 「何とか抑えられて良かった。(プロ初勝利まで)長かったですけど、今はホッとしてる」

 力の限り腕を振れる理由がある。プロ初登板の昨年5月21日巨人戦(甲子園)。中学時代に所属した「中山ベースボールクラブ」のチームメートたちが、山形から駆けつけてくれた。ドラフト指名直後、帰省した際に「1軍で雄哉が投げる時はみんなで絶対に見に行く」と約束されていた。山形県内の市町村で最も面積の小さな中山町で野球を始め、同学年の部員は6人だけ。期待と夢を背負い、大舞台に立った。夜勤明けで新幹線に飛び乗った仲間もいた中、7回1失点の快投だった。

 試合後、寮に帰って眠りに就こうとした時、着信があった。観戦を終え、ホテルの一室に集まった仲間たちが、1台の携帯電話をリレーして次々に言葉をかけてくれた。

 「なんか恥ずかしくて“うるせー”“バカヤロー”とか言ってましたけど、あれは純粋にうれしかったですね。夢みたいな舞台でしたけど、僕はここで結果を残さないといけない。あいつらも、山形で頑張ってるので」

 恩師の涙にも結果で応えた。昨春の2軍キャンプ中、中山ベースボールクラブの当時監督だった佐竹英規さんの訪問を受けた。練習後、会食の席で佐竹さんは突然、目を潤ませて頭を下げた。

 「俺の夢を雄哉が全部かなえてくれたんだよ…本当にありがとうな。ありがとう…」

 佐竹さんは「中山町からプロ野球選手を-」を合言葉に、ベースボールクラブを設立し、同町の野球少年のために、施設整備などに尽力。横山が教え子では初めてとなるプロ野球選手だった。

 「本当にお世話になった方なので、高知まで来てくれてうれしかったし、励みになった」

 横山の両親と山形から駆けつけスタンドから声を張り上げた、佐竹さんに約束の白星を届けた。

 1年目は左胸鎖関節炎で新人合同自主トレから別メニュー調整を強いられ、昨秋は右足第5中足骨骨折。「ケガばかりで悔しい気持ちしかない。2軍ではいつくばって、やるしかない」と試練を乗り越えて、光を見た。

 「きょうで満足することなく、次の試合もしっかり抑えられるように頑張ります」。立ち止まることなく、22歳は次を見据えた。 (遠藤 礼)

 ◆横山 雄哉(よこやま・ゆうや)1994年(平6)2月21日、山形県生まれの22歳。山形中央では2年時に春夏連続で甲子園に出場。新日鉄住金鹿島では1年目から公式戦に登板し、14年都市対抗に全足利クラブの補強選手として出場した。同年秋には侍ジャパン21U代表に選出され、21Uワールドカップ(台湾)の準優勝に貢献。14年ドラフト1位で阪神に入団。1メートル83、84キロ。左投げ左打ち。

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