イチロー人生初!代打V打 日米1万4238打席目「そら気持ちいい」

[ 2016年5月5日 05:30 ]

<マーリンズ・ダイヤモンドバックス>6回、代打で逆転2点適時打を放つイチロー(AP)

ナ・リーグ マーリンズ7―4ダイヤモンドバックス

(5月3日 マイアミ)
 「人生初」の代打V打に興奮!マーリンズのイチロー外野手(42)は3日(日本時間4日)、ダイヤモンドバックス戦で1点を追う6回に代打で出場し、逆転の2点適時打を放った。メジャー現役最年長野手のレジェンドが、日米通算1万4238打席目にして初めて代打で記録した決勝打。メジャー通算3000安打に残り53本に迫るとともに、チームに再び貯金1をもたらす値千金の一打となった。

 1点を追う6回1死満塁。代打で名前をアナウンスされると、場内から「イチローコール」が湧き起こった。2ボールからの3球目。96マイル(約154キロ)の外角ツーシームを捉えた打球は、快音を残し中前に弾んだ。逆転。本拠地のファンは、イチローTシャツを振り回してはしゃいだ。

 一塁塁上では表情を変えずクールにふるまったイチロー。しかし、本音は違った。「気持ちいいですよ、そりゃ。やっぱ緊張しますからね。そんな中で結果を出すのはそら気持ちいいですよ」。日米通算1万4238打席目にして、初めて放った代打逆転打は格別だった。来場者の先着1万人にイチローTシャツがプレゼントされたこの日は始球式で捕手も務め、声援を独り占めした。

 相手の3番手右腕バレットは、100マイル(約161キロ)近い速球が売り。ベンチには一発もあり27歳と若い左打者のボアもいた。ベテラン打者はパワー系の投手に弱いという定説がある。しかし、「彼を42歳とは考えていない」というドン・マッティングリー監督はイチローを選択した。満塁での強さは折り紙付き。これでメジャー移籍以来、満塁では打率・383(149打数57安打)とした。

 新人のバレットとは初対戦だった。前の打者から自身がバットを振るまで7球、ボールを見ることができた。しかし、天才打者は真顔で言う。「そんな余裕ないですよ。そんなもん、ちびりそうに緊張しているんだから」。らしからぬ言葉にも聞こえるが、しびれる場面でこそ最高の仕事をするのもイチロー。「もうバット振るだけですから。情報、何もないもん。そんなに冷静じゃないですよ、僕は」と心の内を明かした。打席ではおくびにも出さず、メジャー2947本目の安打を記録した。

 この日は見覚えのあるデザインのTシャツを着て球場入り。ダウンタウン・浜田雅功プロデュースでキャンプ中に披露していなかった一着だ。セリフは「なんやかんや言っても打ってるし」。Tシャツ通りの結果に「たまたまなんですけどね。あの時に着てなかったやつですね」と笑って帰路に就いた。早くも気温30度を超すマイアミ。イチローのバットも、さらに熱くなる。(マイアミ・笹田 幸嗣通信員)

 ▼マ軍、ドン・マッティングリー監督(イチローについて)大きなヒットを打ってくれた。彼は日々の準備、やるべきことが分かっている。本当に素晴らしい。

 ≪代打通算125打席≫イチローが代打出場したのは日米通算で125打席(代打の代打を出され交代した先月16日ブレーブス戦は含まない)。昨年6月6日のロッキーズ戦で同点打は放っているが、決勝打を記録するのはプロ25年目で初めてだ。通算118打数30安打(打率.254)ながら、途中出場が増えた13年以降の4シーズンに限れば74打数23安打(.311)、6打点の好成績を残している。

 ≪イチローのメジャーでの「人生初」≫

 ☆DL入り マリナーズ時代の09年4月、胃に出血性の潰瘍が見つかり、15日間の故障者リスト入り。同年のWBC出場による疲労が原因とみられる。

 ☆退場 同年9月26日のブルージェイズ戦の5回、見逃し三振の判定を不服とするような態度。審判が「侮辱行為」と捉え、退場宣告を受けた。

 ☆二塁踏み忘れ マーリンズ移籍後の15年5月2日のフィリーズ戦の2回、左前打で出塁。次打者の初球にスタートを切ったが、詰まった打球の行方に迷い、二塁到達後に再び一塁方向へ。安打を確認して三塁を目指したが、二塁ベースを踏み忘れたため、アウトとなった。

 ☆公式戦初登板 同年10月4日のフィリーズ戦に志願し、8回から登板。打者5人に18球、2安打1失点、最速89マイル(約143キロ)を計測。日本では96年の球宴で登板したが「もう二度とピッチャーの悪口は言わない」。

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