マエケン雨に負けた イラ立ち募らせ勝負球甘く入った

[ 2014年8月16日 05:30 ]

<広・巨>3回。雨の中不満そうにマウンドに上がる前田健

セ・リーグ 広島2-7巨人

(8月15日 マツダ)
 見るに堪えない姿だった。広島・前田健太投手(26)が15日の巨人戦で今季最短の3回6安打6失点KO。9戦7勝0敗だった本拠地で今季初めて負けた。降雨による悪コンディションにイラ立ちを隠せず、6回7失点で降板した前回8日の阪神戦に続く、2試合連続の大炎上。試合は48分間の中断を経て2―7で敗れ、首位・巨人とは今季最大タイの5ゲーム差に開いた。

 不甲斐ない。誰に言われるまでもなく、前田健は強く自責の念に駆られていたに違いない。5敗目を喫した8日の阪神戦(京セラドーム)に続く2試合連続の大炎上。真っ先に帰途に就いた右腕は、報道陣の問いかけにも無言。広報を通じ「申し訳ないです」とコメントしたのみだった。

 95分間の中断後にノーゲームとなった前日14日と同様に、試合開始前後から大雨、小雨が降り続く悪天候。それが微妙に制球を狂わせたのか、初回2死から坂本、2回には先頭・高橋由にソロを浴びた。2死後、小林から通算1000三振を奪ったが、笑顔はない。

 イラ立ちが爆発したのは3回だ。先頭・内海への四球後、ぬかるむマウンドの整備とロジンバックの交換を要求。だが、長野の左越え二塁打など3連打を許し、四球を挟んでまた高橋由に適時打を浴びた。一挙4失点。変化球は抜け、勝負球が甘く入った結果だった。

 「相手(との勝負)と言うより、自分をコントロールできなかった。初回2死から本塁打を打たれ、2回も先頭に一発。修正できなかったね」

 野村監督は淡々と言葉を重ねる中に、右腕への失望感をにじませる。マウンド上で見せたエースらしからぬ振る舞いには「ウチのエース。そこはわきまえて投球してくれたと思う」と弁護した。

 気になるのは6回降板の憂き目を見た前回8日の阪神戦だ。本人は一切弁解しなかったが、試合中、右太腿裏に張りが出かける奇禍があった。山内投手コーチは「その影響はないと思う。相手も条件は一緒。思うように制球できず、粘れなかった」と代弁した。

 1000奪三振の節目の試合を白星で飾れず、7月12日の中日戦(ナゴヤドーム)で5年連続の2桁勝利に王手を掛けて以降、後半戦はこれで4戦足踏みが続く。

 「(三振が)表彰される数字に達するのはうれしいけど、それよりも仕事がしたい。ここ何試合か勝てていないので、勝つという仕事がしたい」

 チームは11カード連続で初戦に勝てず(2分、9敗)、5差となった巨人追走は崖っぷち。エースの戦前の意気込みが現実にならなければ、セ界浮上はおぼつかない。

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2014年8月16日のニュース