桐光の里中だ!サブマリン1年生が乱調エース救った

[ 2014年7月25日 05:30 ]

<桐光学園・慶応義塾>力投する中川

神奈川大会5回戦 桐光学園2―1慶応

(7月24日 保土ヶ谷)
 桐光学園の1年生、中川颯投手が慶応戦で好救援を見せチームを8強に導いた。

 まるで漫画に出てくる一シーンのようだった。桐光学園の1年生投手の出番は、最も過酷な場面だった。初回、先発の3年生エース・山田が3連続四球を与えると、無死満塁で背番号「13」の中川がマウンドに上がった。

 「先輩が声を掛けてくれて緊張がほどけたけど、スタンドを見ると緊張するから見ないようにした」

 1年生とは思えない、強心臓ぶりを発揮した。渡辺俊介(米独立リーグ・ランカスター)に憧れて大正中1年時から練習を始めたというアンダースローで、打者を翻ろう。いきなり空振り三振を奪うと、次打者は投ゴロ。最後も空振り三振で大ピンチを脱した。「しっかり腕が振れて調子が良かった」と、大物ぶりを発揮した。

 試合後は、驚きの事実を明かした。「今まで直球とスライダーの2種類だったけど、きょうからシンカーを解禁した」。1メートル80の長身だが、68キロの細身。人気野球漫画「ドカベン」に登場する明訓(神奈川)の下手投げエース、里中智(1メートル68、65キロ)をほうふつさせるクレバーな投球術を披露した。2回以降は6度も得点圏に走者を背負いながら要所を締め、11安打を許しながらも9回を1失点。125球で「完投」してみせた。

 最後まで試合を託した野呂雅之監督は「打者との間(の取り方が)がうまい。笑顔でマウンドに立っている姿はまだ怖さを知らない、怖いもの知らず」と目を細めた。昨年は大エースの松井裕(現楽天)を擁しながら、準々決勝で敗退。まさに救世主的な活躍で8強入りに導いた中川は「神奈川を制覇して、エースをカバーしていきたい」と力強く宣言した。

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2014年7月25日のニュース