安楽まさかの3回戦敗退「スピード以上に勝ちにこだわったが…」

[ 2014年7月25日 05:30 ]

<済美・東温>甲子園の夢断たれ、上甲監督(右)に泣きながら謝る済美・安楽

愛媛大会3回戦 済美1―4東温

(7月24日 坊ちゃんスタジアム)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は24日、33大会で116試合が行われた。愛媛大会では昨春センバツ準優勝校、済美が3回戦で東温(とうおん)に敗れた。今秋ドラフト上位候補の安楽智大投手(3年)は4失点を喫し涙を流した。

 あふれる涙をこらえるように天を仰いだ。3点を追う9回2死三塁。山口の打球が中堅手のグラブに収まると、三塁走者の安楽は手で顔を覆いながら整列に加わった。仲間に支えられ、促されるようにベンチへ引き揚げたが、とめどなく涙がこぼれた。ミーティングの最後に上甲正典監督と握手を交わすと、壁に顔を伏せて泣きじゃくった。

 「監督と約束した日本一を果たせなくて悔しい。力不足で申し訳ない。スピード以上に勝ちにこだわったのですが…。全力は出し切った…」

 初回の先頭打者から4者連続三振を奪う快調な滑り出し。だが、5回に暗転した。先頭の渡辺に初球の甘い直球を叩かれて二塁打。後続の初球犠打で三塁に走者を背負った。「1球目にくるとは思わなかった」と振り返った初球スクイズで先制点を献上。わずか3球の出来事だった。

 6回は2死三塁から青野に左翼フェンス直撃の安打を浴びた。皮肉にも、右肘故障後では今夏最速の148キロを痛打された。9回には計3本の長短打を浴び、さらに2失点。「最終回の2点が厳しかった。甘さが出た。情けないキャプテンです」と声を絞り出した。

 昨春のセンバツは5試合で計772球を投げて準優勝した。2年生の時の自身を上回れなかったが、「監督さんと一緒じゃなければ157キロは出なかった。右肘のケガもありましたが、済美に入学したことに後悔はありません」と言い切った。

 それでも、今秋ドラフト1位候補の評価は変わらない。この日は阪神など5球団7人が視察。安楽は今後の進路について「何も考えられない」と明言は避けたが、心は決まっている。「上に行って頑張れ」――。ドラフト1位、そして160キロへの挑戦。指揮官のメッセージに安楽は静かにうなずいた。

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2014年7月25日のニュース