武修館創部40年目で初切符 釧路支部から24年ぶり聖地

[ 2014年7月25日 05:30 ]

<釧路工・武修館>胴上げされる武修館の小林監督

北北海道決勝 武修館8―5釧路工

(7月24日 旭川スタルヒン)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の北北海道大会決勝は24日、史上初の釧路勢同士の決勝対決を武修館が8―5で釧路工を下して、創部40年目で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。今年4月に就任したばかりの小林正人監督(26)の下、千葉祐也主将(3年)を中心に部員38人の全員野球でつかんだ頂点の座。釧根支部からは90年中標津以来の代表となる24年ぶりの甲子園でも暴れ回る。

 その瞬間が来た。9回、6点リードを3点差まで追い上げられても、まだ武修館ナインは笑顔だった。背番号1の徳橋颯野(そうや、2年)が最後の打者を遊飛に仕留めると両拳をグイッと突き上げた。ナインが次々と飛びつくと歓喜の輪が広がった。スター不在の雑草軍団がついに頂点に立った。ベンチ前で大泣きして抱き合った千葉主将は「つらいこともあったが優勝できて良かった。みんなの力で勝った。甲子園だけじゃなく、別の大事なものを手にできた」と涙を拭った。

 初回から自慢の機動力が全開だった。1死一塁で榎森駿也(3年)が二盗。三ゴロで三塁に進むと志賀和冴(3年)の右前打で先制。なお2死一、二塁として岡本滉己(3年)の二ゴロが敵失となる間に一塁走者の中村祐斗(3年)が好判断で三塁へ。さらに右翼からの送球が悪送球となる間に本塁へ生還して一挙3点を奪うなど、積極走塁がさえた。

 今年4月から小林正人監督(26)、石原敏樹部長(36)の新体制がスタート。「全力疾走」「全員野球」を掲げて練習中は常に全力疾走。1人でも全力ダッシュを怠ると全員が元の位置に戻って再び走り直し。地道な努力は走力アップにつながった。全員野球をモットーにして上下関係を厳しくせず、整理整頓なども部員38人全員で行ってきた。5月上旬からは「徳を積む」という精神から積極的にゴミ拾いも実践。決勝戦も午前11時半に球場入りすると、甲子園を懸けた大一番を前に、ベンチ入りメンバーも含め、部員全員で球場周辺のゴミ拾いを15分間ほど行った。

 暑さ対策も万全だった。釧路の7月の平均気温は15・3度。旭川地方は最高気温31度を記録したが、厳しい暑さを想定して、支部予選後から今大会3日前までマスクを着用し、グラウンドコートを着込んで汗だくになって練習に励んできた。

 史上初の釧路ダービーを制して立った頂点の座。釧路工とは直線距離でわずか2・4キロ。試合後は2チームで和気あいあいと記念撮影に臨んだ。ナインの誰もに「釧路工の分も…」という思いは強い。「武修館らしく全力疾走で優勝を目指したい」と千葉主将。真夏の聖地を疾走し、爽やかな釧路の風を吹き込む。

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2014年7月25日のニュース