鍛治舎氏 監督就任初日に言う言葉は「長靴を買いなさい」

[ 2014年3月21日 07:49 ]

秀岳館野球部監督に就任する鍛治舎氏は指導方針をまとめたファイルを手に思いを語る

甲子園名解説の鍛治舎氏 秀岳館監督に(2)

 元松下電器(現パナソニック)監督で、NHKの高校野球解説者としても知られた鍛治舎(かじしゃ)巧氏(62)が4月1日から秀岳館(熊本)野球部の監督に就任する。

 04年夏の甲子園決勝・駒大苫小牧―済美を担当するなど通算21年にわたった高校野球解説もまた、夢を引き寄せるきっかけとなった。

 01年夏、松中(現ソフトバンク)らを輩出した八代一が「秀岳館」に校名変更し、甲子園に初出場。2回戦で、その年のセンバツ覇者・常総学院を3―0で下した。「高校生は全力を出し切ったら大接戦になる」と、下馬評だけで推し量らない解説に魅了された中川理事長から直接連絡を受け、交流が始まった。

 経験の豊富さはアマ球界屈指だ。社会人の松下電器の監督を5年間務め、ボーイズリーグ「オール枚方ボーイズ」の監督としても12度の全国制覇を成し遂げた。「持っている全てを伝える」と現在100ページにわたる「教本」を作成中。「ROAD TO No・1」と名付け、秀岳館のスタッフらに配布する予定だ。

 監督就任初日に言うことは、もう決めてある。「長靴を買いなさい」――。専用グラウンドがなく、雨が降れば2日近く何もできない校庭が野球部の主戦場。「雨でも外でやる。そういう試合だってあるかもしれない」。ご飯の量を量るはかりも購入予定。体をつくるため食の改善に乗り出す。

 ボーイズリーグを指導した際のノウハウも生かす。「少年野球では試合前日、メンバー一人一人にメールしていた。今の子はメールに慣れているから、返事が来る。1対1でコミュニケーションができる」。秀岳館は4月から140人の部員を抱える大所帯となるが、同様に1対1で選手と接する考えだ。

 縁もゆかりもない場所で、家族の後押しも受けての挑戦。「家内が一緒に来ると言ってね。独立した3人の子供も応援に行くと張り切ってる」と笑う。62歳の新人監督。情熱と大きな野球愛で、新たな一歩を踏み出す。

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