石川 90日ぶり白星「つくづく勝つのは難しい」

[ 2013年7月26日 06:00 ]

<ヤ・神>6回、石川は今成を二ゴロに打ち取りグラブを叩く

セ・リーグ ヤクルト11-1阪神

(7月25日 神宮)
 長かった。90日ぶりにつかんだ白星の快感を味わったのもつかの間。今季初めて最後までマウンドを守り抜いたヤクルトの石川は、申し訳なさそうに頭をペコペコ下げて勝利のハイタッチに加わった。

 「つくづく勝つのは難しいと思った。喉から手が出るほど欲しかったですから。3カ月(未勝利)はきついですよ。でも、素直には喜べない」。

 4月26日の巨人戦(神宮)以来の3勝目。チームの連敗を5で止める好投にも、ここまで7敗を喫していたエースとしての責任感が口を突いた。

 不調の要因は、タメがつくれず、左腕が体から離れて生命線である制球が定まらなかったからだ。前回14日の広島戦(神宮)は3回5失点KO。翌日の横浜スタジアムのブルペンでは、一心不乱に投げ込む背番号19の姿があった。3日間で投げ込んだ球数は実に400球。投球を受けた鮫島ブルペン捕手は「初めてあんな表情の石川を見た。悲壮感でいっぱいだった」と明かす。

 この日は、初回に1失点したが、2回以降は決め球のシンカーを軸に内外角に変化球を散らす本来の投球スタイルが復活した。荒木投手コーチは「今までは体が流れ気味になっていた。投げ込みで軸がしっかりして止まるようになってから腕の位置も変わってきた」と分析。前日12得点した阪神打線を107球で4安打1失点に料理した。

 右のエース館山が右肘じん帯の再建手術で今季絶望となる中、最下位に低迷する責任を背負い込んでいた。エースが苦しみ抜いて勝ち取った1勝は、チームにとっても大きな意味を持つ。「まだまだこれから先がありますから」と石川。上位浮上には左腕の力が欠かせない。

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2013年7月26日のニュース