ゴジラの逆襲だ!松井秀、火噴く2戦連発

[ 2009年7月7日 06:00 ]

ブルージェイズ戦の5回、ポサダの安打で本塁に向かうデーモンに指示する松井秀

 【ヤンキース10-8ブルージェイズ】ヤンキース・松井秀喜外野手(35)が5日(日本時間6日)、ブルージェイズ戦で5月22日以来の5番に復帰。4回に今季初の2試合連続本塁打となる13号3ランを放った。左腕投手からの本塁打はこれで今季は8本目。7月は3本塁打を含む14打数7安打8打点となり、4年契約最終年、さらに7月末のトレード期限を前に、松井のバットが“反攻の猛火”を噴き始めた。

 2戦連発への伏線は2回の第2打席にあった。相手の先発左腕セシルは新人で、これまで未対戦。だからこそ、9球粘った末に四球を選んだこの打席に意味があった。「(あの四球で)ある程度の球筋は把握できていた。本塁打は泳がされているふうに見えるかもしれないけど、しっかり打てた」。4回1死一、二塁、2球目の外角スライダーを読み切って右翼席に運んだ。会心の13号で日本人ではイチローに次ぐメジャー500得点を記録。5回にもフルカウントからの7球目を右前に運び、粘って相手の失投を引き出す本来のスタイルが戻ってきた。
 これで今季は13本塁打中8本が左腕投手から放ったもの。“左腕に弱い”というレッテルを引きはがすには十分な数字だ。技術的には対左腕でも体の開きが少なくなり、バットのヘッドが下がらなくなったことがある。これまで相手先発との相性に加え、左腕のときには松井をベンチに下げることが多かったジラルディ監督も「マツイにとって大きな1日だったな」と話した。
 この指揮官の再評価は今後に大きな意味を持つ。4年契約の最終年。両ひざを手術したことで、守備、走塁面には大きな不安を残す松井。地元メディアでは“松井がピンストライプのユニホームを着るのは今年が最後”というのが一致した見方だ。松井自身は日本復帰ラブコールを送っている巨人、阪神の国内球団も含め自らの去就については明言を避けているが、これまで親しい関係者には「素晴らしい歴史と伝統があり、なおかつ常勝が宿命付けられている。自分がチームに求める理想がほとんどヤンキースにはある」と吐露。その上で「ニューヨークという場所もそうだし、メディア、ファンを含め、足を引っ張られかねない要素もいっぱいあるけど、やはりヤンキースは最も刺激があるチーム。たくさんの刺激がある中でプレーする方が、自分の力が引き出せると思う」と現時点では残留をベストの選択肢としている。
 だからこそ、結果を残すしかない。久しぶりのクリーンアップでの今季初の1試合4打点。「そりゃ打順は上位の方がいい。いい場面で回ってくる確率が高くなるからね。充実感?それは、自分が打って勝てばあると思いますよ。これ(自身の好調)を続けていかなくちゃいけない」。ヤ軍への思いを“片思い”に終わらせないために、1試合、1打席たりとも無駄にできない。

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2009年7月7日のニュース