22歳・鵜沢飛羽 末續、サニブラに続く男子200m3人目の世陸決勝進出へ「重圧ない」

[ 2025年9月11日 05:00 ]

13日開幕世界陸上 注目選手紹介(下)

7月、日本選手権で力走する鵜沢
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 陸上の世界選手権東京大会は13日、国立競技場で開幕する。男子200メートルで日本人史上3人目の決勝進出を狙うのが鵜沢飛羽(とわ、22=JAL)だ。SNS上で「オタク」を公言する個性派スプリンターは8月に日本歴代3位タイの20秒11をマークし、絶好調で世界に挑む。大会のフィナーレを飾る男子400メートルリレーの主力としても期待がかかる若き才能に迫った。

 自称オタクの異色スプリンターが大きな夢をつかもうとしている。鵜沢が挑むのは男子200メートルで03年銅メダルの末續慎吾、17年7位のサニブラウン・ハキームに続く史上3人目の決勝進出。「重圧はない。吹っ切れている」と静かに準備を進めている。

 「NARUTO―ナルト―」「僕のヒーローアカデミア」「七つの大罪」などヒーロー漫画が大好きで「人生の教科書」と言い切る。2部屋ある自宅の一室は「オタク部屋」だ。漫画の蔵書量は1万冊、フィギュアは300体超。「家に帰ったら床が抜けてるんじゃないかってヒヤヒヤしてます」と笑う。

 昨年から始めたオンライン対戦アクションゲーム「僕のヒーローアカデミア ウルトラランブル」は700時間以上プレーするほどハマり、現在は世界選手権へのモチベーションをさらに高めるため、アニメ版「NARUTO―ナルト―」を復習中。「僕のヒーローアカデミア」の好きなシーンを胸に刻み、国立に乗り込むつもりだ。

 そもそも鵜沢の競技人生もスポーツ漫画の主人公のようだ。築館中まで野球少年。俊足が売りの中堅手で打順も1番だったが、肘を壊して甲子園の夢を断念。築館高入学と同時に陸上を始め、短距離を専門に。「努力量だけは誰にも負けたくないと思って、やり続けたからこそ今がある」。一つのことを突き詰めたくなる性格。部活の練習後、一人で1日100メートル走を100本、10キロ以上もダッシュした。その執念が礎となった。

 高校1年の秋、18年福井国体で初の全国大会を経験。だが少年B100メートル決勝はフライングで失格。「負けたくない気持ちが強かった」という。悔しさをバネに一冬越え、2年時には100、200メートルで全国総体2冠を達成。ともに追い風参考ながら10秒19、20秒36の好記録で衝撃を与えた。だが3年時に再び逆境に見舞われる。コロナ禍で全国総体が中止。連覇が消滅し、引退を考えた時期もあった。筑波大入学後は左太腿を肉離れ。それでも鵜沢は困難を乗り越えるたびに強くなり、大学3年から日本選手権3連覇。日本の第一人者となった。

 23年の前回大会、昨夏のパリ五輪では準決勝敗退。分厚い壁に2度はね返されたが、まだ22歳。8月に20秒11まで記録を伸ばし22年間破られていない末續の日本記録(20秒03)も射程圏内だ。頂点を狙う400メートルリレーは最終4走を担う可能性が高い。鵜沢は「(アニメの世界を)疑似体験ができるのが、日本代表として挑む場」という。2次元の世界を飛び出し、夢を現実に変える。(大和 弘明)

 ◇鵜沢 飛羽(うざわ・とわ)2002年(平14)11月25日生まれ、宮城県大河原町出身の22歳。築館高1年から陸上を始め19年全国高校総体の100、200メートルを制し、28年ぶりとなる2年生短距離2冠を達成。筑波大3年の23年から200メートルで日本選手権3連覇中。アジア選手権2連覇中。100メートルの自己ベストは10秒25。名前の由来は大きく羽ばたいてほしいという親の願いから。TDKアスリートアンバサダー。1メートル82。

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