【砂村光信の目】BL東京はやろうとした戦術を遂行した リーグワンは1~3までレベルアップ

[ 2025年6月1日 21:51 ]

NTTジャパンラグビーリーグワン1部プレーオフ決勝   BL東京18―13東京ベイ ( 2025年6月1日    東京・国立競技場 )

<BL東京・東京ベイ>(前列左から)モウンガ、ラトゥ、真野、佐々木、フリゼル、リーチ、ディアンズ、豊島、コリンズ、森、小鍛冶(後列左から杉山、木村、ブラックアダーHC、伊藤、真壁、橋本、トンプソン、原田、松永、ピアス、アニセ、小川、桑山(撮影・篠原岳夫)
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 決勝にふさわしい、いいゲームだった。反則は両チームとも一桁で、ロースコアの引き締まった試合になった。5万人以上も詰めかけた観客も喜んだのではと思う。

 BL東京は、リーグ戦1位通過で準々決勝を回避できたアドバンテージを生かした。東京ベイがリーグ戦では経験したことのない6週連続のゲームで疲労が抜けきらないことを念頭に、前半からFWを前面に出し、相手強力FWにタックルをさせて疲れさせる戦術を立て、遂行した。

 今季のBL東京の特長は、FWが近い距離で細かくパスをつなぎ、相手のタックルをズラす攻撃をすることだ。相手ディフェンスに正面から当たらないことで、強度の強いタックルを受けないと同時に、タックラーを横や後ろにひきずることができる。

 タックルをずらされると、守る側は、体も頭も疲れる。東京ベイのルディケ・ヘッドコーチ(HC)が「タックルが受け身になって起き上がる向きを間違え、ノット・リリース・ザ・ボールを、後半に多く取られてしまった」と振り返ったのは、BL東京の戦術が成功した証拠だろう。ルディケHCは今季、信頼し続けた主将のマキシを最後まで使い続けたが、後半は明らかに疲れが見えたのも、象徴的だった。

 BL東京の攻撃面は、やはりSOモウンガがキーマンだった。相手がマークしていればパス、スペースが空けばラン、もしくはショートキックと、全体を俯瞰(ふかん)して自在に動いた。この日も2トライの両方に絡んでいるが、経験が体にしみこんでいて、スペースを肌で感じられる素晴らしいSOだ。20代のころから注目していたが、1メートル76と体が小さいのにオールブラックスのSOのポジションを名選手のバレットから奪った才能は、日本選手の参考にもなるだろう。

 今季のリーグワンは、12チームのレベル差が縮小し、上位常連のチームでも絶対に勝てる相手がなくなった。ディビジョン1から3まで、すべてのチームがレベルアップした印象で、接戦が増えて最終節まで順位が確定しなかった。これは、展開ラグビーでグラウンドを広く使い、15人全員がゲームに参加する日本のラグビーは面白い、と観客だけでなく、海外にも認知され、海外からいい選手が集まったことが大きな理由だろう。そのため、日本選手のレベルも上がっているのは、リーグの目的を達成する点で、意味のあるシーズンだった。

 最後に、今季はTMOのストレスが減ったことも付け加えておきたい。ビデオの選択が早く、的確になって、TMOにかける時間が短縮された。レフェリー、カメラマン、編集技術者の連携の努力のお陰で、この日の後半16分のスロー・フォワードのTMOも的確なカメラワークでわかりやすかった。目立たないが、これらの努力にも拍手を贈りたい。(元U―23日本代表監督)

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