アメフト界のノアになる! ジュニアチャレンジャーズが初実戦 刻んだ2TD

[ 2024年9月15日 19:39 ]

エキシビションマッチ   合同チーム(ジュニアチャレンジャーズなど4チーム)16ー40立命館守山・長浜北 ( 2024年9月15日    立命館守山高 )

試合前に指示を出すジュニアチャレンジャーズの佐岡真弐ヘッドコーチ(中央)
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 選手がサイドラインへ戻るたび、ジュニアチャレンジャーズの佐岡真弐ヘッドコーチ(HC)が絶えず声を掛ける。「失敗してもええから、思い切り!」「あかん時はあかん。しゃあない」「水をしっかり摂れよ」。今年3月に立ち上げたチームの初実戦。競技経験が浅くても、ひたむきに戦う選手をポジティブな言葉で支え続けた。

 高校にアメフト部がない、人数が足りないなど、さまざまな要因で競技続行を断念した選手が集まった混成チーム。3月の創部後、週に1回の練習を重ね、ようやく訪れた「デビュー戦」だった。同じ取り組みを先に始めた箕面ファイティングシトロンズ、部員不足の虎姫、長浜農(いずれも滋賀)との合同チームで臨んだ立命館守山、長浜北とのエキシビションマッチ。ヘルメットをかぶるのが2回目など、経験不足の選手も起用しながら、2TDを刻み、これまでの努力と今後の展望に手応えを得た。

 「やるからには、もちろん勝ちにこだわっていますけど、要所要所で狙ったプレーができたのが良かった。もっと準備していたら、もっとできたかな」

 こう振り返る佐岡HCは、2004年度の関学大主将。卒業後はアサヒ飲料チャレンジャーズで長年、プレーした。チーム立ち上げを思いついたのは、長男で、この日も攻守に活躍した宗一郎(須磨学園夙川)の存在が大きい。「(アメフト部のない)中高一貫に進んだので、アメフトができない。それやったら、そういう環境を作ってやろうやないか、と」。持ち前の行動力で、発案から数カ月で創部にまで導いた。

 現在部員は15人。TDパスを決めたQB小林知暉(大阪つくば開成)は、名門・大産大付を中退し、ジュニアチャレンジャーズの門を叩いた。「ここで初心に返った感じ。みんなが“楽しい、楽しい”と言ってプレーしているのを見て、僕もそういうのを手助けできたら、と思ってやっている」。チームの方針に「強制」の二文字はない。自分で考え、工夫し、前に進むことに、プレーヤー、そして人間としての成長がある。

 「こんな面白いスポーツなのに、競技人口が減っていることに危機感はあります。確かに、タックルが危険ではないと言わないけど、アメフトをやる人間には、こんな凄いヤツがいるんだ、ということを、このチームを通じて、世の中に知らせていきたい」

 熱い語り口調で、佐岡HCはビジョンを明かした。部員を揃え、来年の兵庫県大会にエントリーするのが現在の目標。競技断念を強いられたプレーヤーを救うノア(箱舟)が今、大きな海へ飛び出した。

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