【パラリンピック】小田凱人「ヤバい…格好良すぎる俺」満員の観客、急きょ決まった中継…重圧を力に金

[ 2024年9月8日 01:00 ]

パリ・パラリンピック第11日 車いすテニス ( 2024年9月7日    ローランギャロス )

金メダルを獲得し、日の丸を掲げ笑顔を見せる小田(AP)
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 車いすテニス男子シングルス決勝で世界ランキング2位の小田凱人(18=東海理化)が世界1位のアルフィー・ヒューエット(26=英国)に6―2、4―6、7―5で勝利して金メダルを獲得した。三木拓也(35=トヨタ自動車)とのペアで銀メダルを獲得したダブルスに続く今大会2度目の表彰台。キャリアで五輪かパラと全4大大会を制する生涯ゴールデンスラムへ、残すは全米のみとなった。

 会場は2連覇中の全仏と同じローランギャロス。相性抜群の舞台で過去7勝8敗だった宿敵ヒューエットを破った。

 第3セット、3―5から4セット連取でつかんだ金メダル。歓喜の瞬間は赤土に倒れ込みガッツポーズ。車いすの両輪をヒューエットに拾ってもらい、支え合いながら熱い抱擁を交わした。

 そしてコート上で行われたインタビューで開口一番、瞳を潤ませながら「ヤバい…格好良すぎる俺」といつもの“小田節”。「もうマッチポイントから相手がドロップショットをミスって、ああもうこれ勝てると思って…。でもそれまでは、負けると思っていました、正直。試合前は負ける気なかったけど、負けると思っていました」と完全に流れを失った場面を素直に振り返りながら涙を見せ、「俺は今日勝ったことで確定させたことがある。俺はこのために生まれてきた!この金メダルを獲るために生まれてきました俺は」と喜びを爆発させ、テレビカメラに口づけをした。

 パリは名前の由来となった凱旋門がある。今大会の金メダルを「運命」と捉えてきたが、初のパラリンピックは想像と違った。4大大会よりも報道陣が少なく、準々決勝まではテレビ中継もなし。SNSで放送を熱望し「これが車いすテニスの現状。僕はそれを変えに来ている」と魅せるプレーにもこだわった。準決勝とダブルス決勝は急きょ放送が決定。決勝は満員の観衆で埋まり、自らの力で理想の舞台をつくった。

 9歳の時に左股関節に骨肉腫が見つかり、サッカーを断念。車いすテニス転向後も2度のがんの肺移転を乗り越えた。完全寛解の見通しは30年4月。不安がつきまとう中、22年4月のプロ転向後は驚異的なスピードで成長し、結果を出してきた。競技をメジャーにして、障害がない人も車いすテニスを楽しむ時代を築くことを目標に掲げ「車いすをスケボーみたいな乗り物にしたい」と言う。パラ界きっての千両役者の戦いは続く。

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