錣山親方の愛弟子・阿炎「迷惑ばかりかけたけど広い心で守ってくれた」最期を見届け隣で一夜

[ 2023年12月18日 13:37 ]

取材に応じる阿炎(撮影・村上 大輔)
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 大相撲の元関脇・寺尾(錣山親方=本名・福薗好文)が17日、うっ血性心不全のため60歳で死去した。突然の訃報から一夜明けた18日、愛弟子の小結・阿炎(29)が師匠をしのんだ。

 師匠の容態が悪いと16日の深夜に電話で伝え聞いた阿炎は、翌朝に巡業先の大阪府堺市を出て都内の病院へ駆けつけた。昼過ぎに到着し、息を引き取る20時27分までずっと師匠のそばを離れなかったという。「師匠の最期に立ち会えました。“鉄人”だと思っていたので、師匠なら戻ってくるだろうと願っていたけどかなわなかった。泣くと怒られるので我慢していたけど、耐えきれなくて朝までぐずぐずになってしまいました」。17日の23時頃、病院を出た阿炎の泣き腫らした目は真っ赤だった。

 遺体とともに錣山部屋へ戻ってきてからは、師匠の横で布団を敷いて一夜を過ごしたという。「師匠の横で寝るのは本当は失礼ですけど、今なら怒られないので隣で寝させていただきました。怒られたいですけどね」。愛する師匠との最後の思い出を明かした阿炎の目は、この日も赤かった。

 20歳で関取昇進、不祥事による出場停止、さらには昨年九州場所の幕内優勝…入門から10年半、師匠と二人三脚でここまで歩んできた。「たくさんの愛をいただいたし、厳しくもしてもらいました。迷惑ばかり掛けたけど、それでも父親のように広い心で守ってくれました。特別な存在でした」。感謝の思いがあふれた。

 しこ名の「アビ」は師匠の幼い頃の愛称。それだけ期待をかけられており、阿炎自身も「この人についていきたい」と偉大な背中を追ってきた。「いまだに背中すら見えない。超えるぐらいしないと、自分の名も師匠の名も世に広まらないので、誰にも忘れられないようにしたいです」。遺志を継いで相撲道に精進していくことを誓った。

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