永山竜樹 初五輪決めた 4年前の悪夢払拭「集中」一本背負い

[ 2023年12月4日 04:45 ]

柔道グランドスラム東京大会最終日 ( 2023年12月3日    東京体育館 )

男子60キロ級決勝、高藤直寿(左)を破り優勝した永山竜樹(撮影・小海途 良幹)
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 男女計8階級が行われ、男子60キロ級決勝で永山竜樹(りゅうじゅ、27=SBC湘南美容クリニック)が東京五輪金メダルの高藤直寿(30=パーク24)に一本勝ちし優勝。その後に開かれた全日本柔道連盟の強化委員会で、来年のパリ五輪代表に内定した。一方、日本選手の優勝者が出なかった男子100キロ級の代表決定は持ち越しとなった。

 東海大の先輩でもある高藤の治療を待つ間、永山の脳裏に4年前の悪夢がよぎった。東京五輪代表入りを懸けた大一番だった19年11月のGS大阪大会決勝。同じシチュエーションからの試合再開直後、技ありを奪われ、夢の舞台は遠のいた。

 「ここで油断せずに集中しよう」。自分に言い聞かせると、再開直後に一本背負いを一閃(いっせん)。パリへの架け橋を、自分の力で架け、「やっと大事なところで、高藤先輩に勝つことができた」と初の五輪へ実感を込めた。

 16年のGS東京大会、17年の選抜体重別と高藤に連勝。しかし同年の世界選手権に両者そろって出場しながら、先輩が金メダルを獲得した一方、永山は3回戦敗退を喫した。その後もここ一番での勝負弱さを克服できず、計4度出場した世界選手権は一度も優勝なし。「自分を変えたい。何かを変えないと、このまま終わる」。導き出した答えが、今年5月のフランスへの単独武者修行だった。

 「柔道というより、人間的に成長したいなと思った。負ける時は守りに入る。自分の柔道は攻めること。貫いたことが、勝ちにつながった」。帰国後は2大会連続優勝で高藤の背中を捉え、この日の決勝で、ついに追い越した。「ライバルであり、先輩。先輩の分まで勝ちたい」と、自分自身を成長させてくれた先駆者に感謝した。

 7年前は東京五輪への新星と目された永山も、妻と子を持つ27歳になった。身長1メートル58の小さな肉体に宿る圧倒的なパワーに、心の強さも手に入れた男は「日本代表の誇りを持って、金メダルを獲りたい」と宣言した。

 ▼高藤直寿 僕の中では100点満点の試合。それで負けたら仕方がない。(永山とは)お互いに苦しい気持ちで過ごしていたと思う。僕の時代は終わったのかな。

 ◇永山 竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年(平8)4月15日生まれ、北海道美唄市出身の27歳。4歳で競技を始め、中学から親元を離れて愛知・大成中に進学。中3で全日本カデ50キロ級優勝。東海大に進学し15年世界ジュニア優勝。17~19年、21年の世界選手権に出場し、18、19年に銅メダルを獲得。SBC湘南美容クリニック所属。1メートル58。右組み。得意技は背負い投げ。

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