体操ニッポン金メダル 男子団体8年ぶり奪冠でパリに追い風 跳馬・南から逆転劇

[ 2023年10月5日 02:30 ]

体操・世界選手権第4日 ( 2023年10月3日    ベルギー・アントワープ )

8年ぶりの金メダルを獲得し、歓喜する日本代表の選手たち(AP)
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 種目ごとに演技した3人の得点合計で争う男子団体総合決勝が行われ、日本は6種目合計255・594点で2015年大会以来、8年ぶり7度目の優勝を果たした。予選1位の日本は序盤で出遅れたが、4種目目の跳馬で南一輝(23=エムズスポーツク)が高得点を出して首位に立ち、最終種目の鉄棒で橋本大輝(22=順大)が着地を決めて締めくくった。前回優勝の中国が2位。東京五輪金メダルのロシアはウクライナ侵攻に伴う制裁で出場していない。

 その着地の先に、パリでの栄光が見えた。鉄棒の最終演技者の橋本が「後方伸身2回宙返り2回ひねり降り」を完璧に決める。8年ぶりの覇権奪回に成功し日本チームは歓喜に沸いた。「人生で一番うれしい金メダル。僕一人の金メダルより、はるかに重みがある」。東京五輪個人2冠の橋本も喉から手が出るほど欲しかった団体での称号だった。

 総力戦だった。大会直前に三輪が左肩のケガで、補欠の杉本と入れ替わった。この試合もあん馬で千葉の落下などがあり前半3種目終了時点で1位中国を2・466点差で追う展開。それでも主将の萱は「全く動じなかった」と語る。跳馬ではスペシャリストの南が大技「ロペス」で15・000点の高得点。跳馬、平行棒と全員が14点台後半以上という鮮やかな逆転劇だった。

 今大会は個人総合五輪2連覇の内村航平さんもコーチとして同行。代表合宿初日には約50分「チームで勝つためには一人一人が強くても金メダルは獲れない。雰囲気が甘い」などと熱弁を振るった。合宿から緊張感を持たせる工夫として、通し練習前には必ず手を挙げ、常に見られる意識を持った。試技会では試合と同じ音楽を流し、本番を予行演習。さらに「着地が勝敗を分ける」と意識を共有し、1回宙返りの基礎から徹底。その反復練習が世界一を争う緊張感の中でものをいった。

 前回の優勝は15年グラスゴー大会。翌年のリオ五輪での団体金メダルにつなげた。今大会は強敵中国は主力の一部を欠き、ロシアも不在。それでも橋本は「勝ち方が分かったのは大きい」と言う。日本は東京五輪の団体総合でわずか0・103点及ばず銀メダル。あれから2年。体操ニッポンが、来夏のパリ五輪金メダル最有力候補に名乗りを上げた。

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