8月25日開幕・バスケットボール男子W杯 前回大会主将・篠山竜青がエール「ENJOY!」

[ 2023年6月8日 05:20 ]

「ENJOY!」。エールを送る篠山(撮影・尾崎 有希)
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 バスケットボール男子W杯は日本(沖縄)、フィリピン(マニラ)、インドネシア(ジャカルタ)の3カ国共催で8月25日に開幕する。前回19年中国大会で主将を務めた元日本代表の篠山竜青(34=川崎)が5戦全敗に終わった4年前の経験を踏まえ、世界舞台を楽しむメンタルの重要性を強調。注目選手に同じポイントガード(PG)の河村勇輝(22=横浜BC)を挙げるなど大会の見どころを語った。

 (1)日本代表へエール 日本代表へのメッセージを求めると、篠山は迷うことなく「ENJOY!」とペンを滑らせた。自身が主将を務めた前回の19年中国大会は自国開催だった06年以来13年ぶりの出場。予選を勝ち抜いての自力出場は21年ぶりだった。NBAウィザーズでデビューを控えた八村、グリズリーズの渡辺らを擁しながら、5戦全敗で32カ国中31位。4年前を回想し「ほぼ初出場のような状況で、親善試合と全く温度感が違い、皆が重圧を感じていた。普段通りに戦えず“もっとやれた”という思いが強い。次はそういう部分を乗り越えて挑戦を楽しんでほしい」とエールを送った。

 今季NBAではレーカーズの八村がカンファレンス決勝に進出して奮闘。ネッツの渡辺も1試合平均5・6得点を挙げて3点シュート成功率44・4%を記録するなど5季目で最高のシーズンを過ごした。「僕の小さい頃には考えられなかったことが起きている。日本代表や若い世代に与える影響は計り知れない。W杯も世界にも勝つメンタルで臨める」と目を細めた。

 (2)キーマン 日本は1次リーグでドイツ、フィンランド、オーストラリアと対戦する。篠山は注目選手に身長1メートル72のPG河村を挙げた。元々定評のある守備、アシストに加え、今季は得点力が大幅にアップ。Bリーグレギュラーシーズンは日本人トップの1試合平均19・5得点を挙げ、アシスト王のタイトルも手にし、MVPに輝いた。日本代表には昨年7月の台湾戦でデビュー。わずか1年足らずで身長1メートル67の富樫勇樹(29=千葉J)と並ぶ主力PGに成長した。

 「半年前、1年前の河村選手がこんなことになるとは想像できなかった。すさまじい成長曲線。BリーグのMVPが世界でどれだけ輝けるのか。ワクワクする」

 世界では身長2メートル前後のPGも珍しくないだけに「ミスマッチどころの騒ぎじゃない。(河村と富樫の)2人がメンバーに入れば明らかなディスアドバンテージが生まれるが、ホーバス監督はそれを凌駕(りょうが)できると考えて2人を入れているはず」と戦術面にも注目している。

 (3)大会展望 優勝候補には東京五輪3位のオーストラリア、NBAで2度のシーズンMVPを誇るセンターのニコラ・ヨキッチ(28=ナゲッツ)擁するセルビアを挙げた。イチ推し選手はオーストラリアのPGパティー・ミルズ(34=ネッツ)。抜群の身体能力を誇る米国のPGジャ・モラント(23=グリズリーズ)を引き合いに出し「ミルズ選手は基礎がしっかりしていて、堅実でシュート力も高い。とんでもない身体能力でびょんびょん跳ねるモラント選手の方が見ていて楽しいが、ミルズ選手の方が勉強になる。渋い選手も見てほしい」と呼びかけた。

 (4)日本代表の使命 Bリーグは発足から7季目が5月に閉幕した。新型コロナが直撃したシーズンを除けば観客動員は順調に伸び、複数の日本人1億円プレーヤーが誕生するなど日本バスケを取り巻く環境は激変した。リーグの合間に活動する日本代表に選出されるとハード日程を強いられ、休養や体のメンテナンスに割ける時間は限られる。

 所属クラブでの待遇が上がったことで、ケガのリスクを負う日本代表入りへの意欲が乏しい選手も少なくない。篠山は「世界で勝って注目度を高めて“代表になったら格好いい”というイメージを確立してほしい。Bリーグができて、お金をもらえて当たり前と思っている若い世代にいい刺激を与えてほしい」と語った。

 日本が24年パリ五輪の出場権を得られるアジア最上位になるためには「1次リーグ突破が一つのボーダーになると思う」と予想した。代表主将時代に掲げたチームスローガンは「日本一丸」。日の丸のユニホームから2年近く遠ざかっても、その思いは変わらない。ホーバス・ジャパンの躍進を含め、自国開催のW杯が成功することを心から願っている。

 ◇篠山 竜青(しのやま・りゅうせい)1988年(昭63)7月20日生まれ、神奈川県出身の34歳。北陸高、日大を経て、11年に東芝(現川崎)に加入した。日本代表には16年に初選出され、19年W杯中国大会は主将として、アジア予選からチームをけん引。21年の東京五輪の出場権獲得にも貢献したが、本番直前に代表から落選した。ポジションはポイントガード。左利き。1メートル78、75キロ。

 ▼19年W杯中国大会 日本(当時世界ランク48位)は自国開催で予選が免除された06年以来、13年ぶりにW杯に出場。1次リーグE組に入り、初戦でトルコ(同17位)に67―86で敗れた。第2戦でチェコ(同24位)に76―89で屈し、1次リーグ敗退が決定。第3戦は米国(同1位)に45―98で大敗した。1次リーグ後に八村が膝の違和感と体調不良で離脱。順位決定リーグはニュージーランド(同38位)に88―111、モンテネグロ(同28位)に65―80で敗れ、5戦全敗。出場32カ国中31位に終わった。

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