全仏混合複初Vの加藤未唯が涙 女子複で対戦し、失格訴えたペアに呼び掛け「またいい試合をしましょう」

[ 2023年6月8日 21:00 ]

テニス全仏オープン第12日 ( 2023年6月8日    パリ・ローランギャロス )

全仏混合ダブルスで優勝し、トロフィーを掲げる加藤とプッツ(AP)
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 混合ダブルス決勝で加藤未唯(28=ザイマックス)ティム・プッツ(35=ドイツ)組が4-6、6-4、10-6(10ポイントマッチタイブレーク)でM・ヴィーナス、B・アンドリースクを下し自身初の4大大会制覇を果たした。全仏での日本勢の混合ダブルス制覇97年の平木理化、22年の柴原瑛菜(橋本総業)に次ぐ3人目の快挙。4大大会では34年ウィンブルドンの三木龍喜、99年全米の杉山愛を含め、史上5人目となった。

 試合後、表彰式に臨んだ加藤は時折涙声になりながら「ここまえは精神的にも大変でした。ここ数日特に大変でした。女子のダブルスからいろいろなことがありましたが、関わってくれた選手、コーチ、皆さんに感謝しています」と、女子ダブルスで失格になった後の苦しい胸の内を吐露した。そして「皆さんのポジティブなエナジーをもらって頑張ることができました」と感謝した。

 そして応援に駆け付けた、女子ダブルスでペアを組み、ともに失格を経験したスーチャディ(インドネシア)に対して「組んでくれてありがとう。我々は失格処分になりましたが全力を尽くしました。また女子ダブルスで頑張りましょう」と呼び掛けた。

 最後に女子ダブルスで対戦したペアに対しても呼び掛け「またいい試合をしましょう」と話し、「失格は残念でしたが、今後いい結果が出て私のポイントが戻されることを願っています」と訴えた。

 加藤が女子ダブルス3回戦の不可解な失格が波紋を広げる中、悔し涙を喜びの涙に変えた。第1ゲームは第1セットでいきなりブレークに成功。第4ゲームは0―40からキープした。第1セットは4-6で失ったものの、第2セットを取り10ポイントマッチタイブレークに持ち込むと、3-3から5連続ポイントするなど圧倒し最終セットをもぎ取った。

 問題の試合は3日前。第2セット途中、ポイント間に相手コート側に送った球がボールガールを直撃した。加藤は強い球を当てていないとの認識で、準々決勝後の会見はショックを引きずり涙して中座。失格を不服として4大大会側に提訴し、他選手からも失格を疑問視する声が相次いでいる。主審がいったん出した警告に抗議したことで批判を受けた対戦相手は反論している。一方でテニスのプロ選手協会は「不当な判定」と加藤擁護の声明を発表。剥奪された賞金とランキングポイントの扱いについても「最低でも賞金とポイントは戻すべき」とした。加藤は「まだ試合を純粋に楽しめていないので、決勝くらいは楽しみたい」と自然体で意気込みを語っていた。

 実家は京都で江戸時代から170年以上の歴史を持つ造園業を営む。8歳でテニスをはじめ、11年全豪オープンジュニアの女子ダブルスで1学年上の穂積絵莉とのペアで準優勝。13年にプロ転向し、16年には穂積とのペアでツアー初優勝を果たした。ダブルスはツアー2勝。17年の全豪オープンでは4強入りした。シングルスではツアー優勝経験がなく、4大大会本戦は17年全仏オープンが唯一の出場で1回戦敗退。

 ◆全仏オープンテニスはWOWOWで全日生放送。日本人選手の試合はWOWOWオンデマンドで全試合ライブ配信

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