川村あんり 17歳冬季五輪最年少メダルならず涙の5位「申し訳ない気持ちでいっぱい」

[ 2022年2月7日 05:30 ]

北京冬季五輪第3日・女子フリースタイルモーグル ( 2022年2月6日    雲頂スキー公園 )

感極まった表情を見せる川村(AP)
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 女子エースの川村あんり(17=東京・日体大桜華高)は、決勝3回目で77・12点にとどまり5位だった。今季のW杯総合ランキング1位で初の大舞台を迎えたが、98年長野五輪の里谷多英以来、24年ぶりの金メダル獲得はならなかった。2大会ぶりの出場だった星野純子(32=リステル)は13位、予選2回目から決勝に進んだ住吉輝紗良(21=日大)は15位、冨高日向子(21=多摩大)は19位だった。

 滑りは強気、インタビューは笑顔。初めての五輪も全身で楽しんでいた川村だが、一身に背負った期待に応えられず、思わず涙した。日本女子で唯一進んだ決勝3回目、第2エア後の着地がわずかに乱れ、2人を残し3位。次の滑走者に抜かれてメダル圏外に落ちると、抑えていた感情を我慢できなかった。

 「メダル候補にずっと挙げていただいたが獲れなかったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」。W杯総合ランキング1位を表すビブナンバー1を着て、冬季五輪の日本女子最年少メダルに挑んだが、わずかに届かなかった。ただ17歳での初五輪は誇り。「楽しんで挑めた」と5位の結果にも胸を張った。

 日本女子の平昌五輪出場者は1人だけ。どん底の低迷から復活を遂げたチームの象徴が、17歳の川村だった。今季だけでW杯3勝。最も向上したターン技術は、世界一のカービングターンを誇った02年ソルトレークシティー五輪金メダリストのヤンネ・ラハテラ・コーチ(フィンランド)に重点指導を受けた成果だ。根本から技術を見直し、ターンのベース点は決勝1、2回目と全体1位。メダルを狙える資格はあった。

 父・修一さん、母・綾子さんともに氷上の格闘技と呼ばれるアイスホッケーの実業団で活躍した選手。受け継いだ闘争本能は本物で、少女期から男子と同じ練習量を音を上げずに取り組んだ。周囲を驚かせたのが小学生の時に出場した公認大会。公式練習の際、当時国内トップだった星野純子の前に“横入り”。ひとたびスキーを履けば、誰が相手でも一切遠慮なし。そんなハートの持ち主が、メダルを逃して涙した。

 足りなかったところを伸ばす時間と、届かなかった物を手に入れるチャンスは残されている。「頑張れば夢はかなうと伝えたい」と川村。4年後、その言葉を自分自身で証明する。

 ◇川村あんり(かわむら・あんり)生まれ 2004年(平16)10月15日生まれ。東京都出身の17歳。

 ☆スキー歴 越後湯沢にリゾートマンションを所有している祖父の影響で3歳から始め、4歳でモーグルを開始。小学校時代から大人に交じって公認大会に出場し、中1でジュニア五輪に初優勝。19年12月にW杯デビューを果たし、ここまで通算3勝。

 ☆2拠点生活 小学校時代は春から秋までは東京、冬は新潟県湯沢町の小中一貫校である湯沢学園に通う2拠点生活でスキーに取り組む。中学の3年間は湯沢学園に通い、現在は東京・日体大桜華高2年生。

 ☆アイドル 本人がモーグルを始めた時からアイドルだったと語るのが、五輪5大会連続入賞の実績を誇る上村愛子さん。19年のW杯デビュー戦でいきなり2位に入り、周囲からも“上村二世”と期待を受ける。

 ☆SNS 今どきの17歳らしくSNSはツイッター、インスタグラム、TikTok(ティックトック)を駆使。中国入り後も選手村の自室や食堂の様子を投稿している。

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