データで見る八村のNBAデビュー年 どうなる来季?さらなる成長に必要なもの

[ 2020年8月14日 02:49 ]

48試合の出場でデビュー年を終えたウィザーズの八村(AP)
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 ウィザーズの八村塁(22)のルーキーシーズンが終わった。フロリダ州オーランドでの最終戦を欠場したために今季の出場はチーム試合数の66・7%に相当する48試合。12月中旬に故障していなければもっと試合数は増えただけに、そこは「もっと見たかった部分」でもある。

 平均13・5得点&6・1リバウンド。ドラフト全体9番目に指名されたルーキーで、しかも日本人として3人目のNBA選手だったことを考えると本当によく頑張ったと思う。そこは米国のメディアも同じ意見を述べていた。

 シュートはきっとうまくなる。過去のスーパースターたちもそうやって階段をひとつずつ上がっている。ただ個人的には「もったいない」と思う部分がひとつだけある。それがフリースロー(FT)。成功率は82・9%と素晴らしい数字だ。これは今季先発したフォワードの選手の中では12位に相当する。(1位はバックスのクリス・ミドルトンで91・9%)。問題は1試合で何回、フリースローラインに立っているかだ。

 八村の今季の平均FT試投数は2・9で成功は2・4。合計得点に占めるFTの割合は17・8%だ。

 これに対して試投数も成功数もリーグ1位となっているロケッツのジェームズ・ハーデン(30)は1試合で11・9回のFTを投げて10・3回を成功させている。合計得点のFTに占める割合は29・8%。八村には“大差”をつけてリーグ1位の34・4得点を稼いでいる。

 ハーデンの今季のFT成功率は86・4%。八村がそれほど劣っているわけではない。しかしハーデンにはドライブインしてシュートを狙いながらも、ある一瞬だけは密着している相手選手に体(とくに腕)を寄せて反則を誘発させるというNBAで得た“熟練の技”がある。一方、八村はブロックショットを浴びるケースが多く、体を寄せるという技術もまだないために、せっかく高い成功率を誇りながらFTのチャンスに恵まれていない。本人も確実にその部分はわかっていると思うので、来季はどうやれば効率良く反則をもらえるのかということを頭の中でしっかり考えて臨むことだろう。

 さて今季のウィザーズの個人成績はあまり参考にならないかもしれない。なぜなら本来の大黒柱でリーグ屈指の身体能力を誇るポイントガードのジョン・ウォール(29)がアキレス腱断裂からのリハビリのために“全休”してしまったからだ。

 代わってシューティングガードのブラドリー・ビール(27)が自己最多で今季リーグ2位の30・5得点をマークしたが、ウォールがほぼフル稼働した2016年シーズンの平均得点は23・1得点だった。このシーズン、チームで最もFG試投数と成功数が多かったのはビールと同じ23・1得点だったウォールの方で1試合で18・4本を放って8・3本を決めていた。ビールは今季22・9本を放って成功は10・4本だったが、ウォールとの“共存共栄”が顕著だった2016年シーズンは17・2と8・3だった。つまりウォールがバリバリに仕事を始めると、ビールのコート上での“業務”は今季比で4分の1ほど減ってしまうのだ。

 すると今季FG試投数11・4、成功5・3の八村の成績は来季どうなるのか?そこは謎でもあり楽しみでもあるのだが、チームのシステムが今季とはまったく異なったものになることは間違いないだろう。

 八村はビールが相手に対して1対1を仕掛けたとき、チームの大黒柱にスペースを空けるためにリングからは遠ざかっていた。ビールはインサイドを突くと自分でフィニッシュまで持っていこうとするので、相手を引き付けてパスをするという姿はあまり見せない。しかしウォールは違う。過去3シーズン、アシスト数を2ケタに乗せており、通算573試合で9・2アシスト。とくに速攻に持ち込んだときのボールのさばき方には定評があり、ウォールが前を走ったときに全力で追走していくと何かしら“ご褒美”に授かれるチャンスがある。

 多くの選手が1年目の経験を生かして2年目から成長を見せている。だから八村もその1人であってほしい。ウォールも帰ってくる。ウィザーズも本来の姿に戻ってくる。勝負の2年目。今年は見せなかった新たなデータをそのプレーの中に見せてほしいと思う。(高柳 昌弥)

 <八村の今季の記録アラカルト> 
 ▼最多得点=12月1日のクリッパーズ戦で記録した30得点。FG試投数(23)とFG成功数(13)も最多。2ケタ得点は10回。
 ▼最少得点=11月6日のペイサーズ戦(出場21分)と3月8日のヒート戦(出場40分)での無得点。
 ▼ダブルダブル=デビュー戦兼開幕戦のマーベリクス戦(10月23日)を含め3回記録。最多リバウンドは12月10日のホーネッツ戦での12(18得点)。
 ▼新人部門=得点(13・5)は5位、リバウンド(6・1)は規定数をクリアした中ではトップ。フリースロー成功率(82・8%)は5位。
 ▼FG成功率=ゴンザガ時代の昨季は37試合で59・1%だったがNBA初年度は46・6%。3点シュートの成功率も41・7%から28・7%にダウン。NBAの壁は厚い?

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2020年8月13日のニュース