鹿児島実・男子新体操部 “お笑い路線”で熱い支持「観客ファーストです」

[ 2020年7月1日 05:30 ]

「TT兄弟」を練習する選手たち
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 鹿児島実の男子新体操部は、コミカルな演技で全国から熱い支持を受けている。一昨年には鹿児島市の明治維新150周年PR動画にも出演して、鹿児島の「顔」を務めた。樋口靖久監督(49)を中心に真剣に面白さを追求する、同部の魅力に迫った。

 “日本で一番面白い演技”で異彩を放っている鹿児島実の男子新体操部。昨年の高校総体ではお笑いコンビのチョコレートプラネットが持ちギャグにしている「TT兄弟」、「どんだけ~」をBGMにコミカルにパフォーマンスし、会場を歓声と笑いに包んだ。樋口監督は「どの年齢の方でも分かる題材を取り入れて、楽しんでもらおうとしています。観客ファーストです」と語る。

 「お笑い路線」に突き進むきっかけは1996年ごろ。経験者が少なく、全国大会で自信なさげに演技をする姿が目立ったからだった。当初は批判の声もあったが、2002年の高校総体で全国6位になったことで周囲の見る目は変わった。

 現在では個々が面白いと感じる題材を持ち込み、樋口監督に「ネタ見せ」している。主将の吉留大夢(たいむ、3年)が「ユーチューブとかで流行を調べて臨みます。監督が“これ良かった”となると、みんなで取り組んだりします」と話すように、真面目に面白さを追求する日々だ。副主将の小田悠仁(ゆうと、3年)は「一番うれしいのは大会で、会場全体に笑いが起こること」と語った。

 コミカルな演技は行政からも熱い視線を送られ、2018年には鹿児島市のPR動画に出演した。同年はNHK大河ドラマ「西郷どん」で鹿児島が注目を集めた年。部員は西郷隆盛に扮(ふん)し、鹿児島のグルメや名所を紹介した。19年には第2弾も公開され、ユーチューブで120万回以上再生された。吉留主将は「5日間かけて撮影したんですけど、たくさんの方に見ていただいて、うれしかった」と頬を緩めた。樋口監督は「鹿児島の誇りと思ってくれる人、鹿児島の顔と思ってくれる人もいる。生徒にとってはうれしいこと」と振り返った。 

 新型コロナウイルスの影響で今年のインターハイは中止になったが、6月上旬に行われた日本体操協会の理事会で「男子新体操WEB選手権」の開催が承認された。8月に予選があり、9月には決勝が行われ、決勝の模様は一般にもライブ配信される予定だ。樋口監督は「楽しんでもらえる構成にしたい」と話した。

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2020年7月1日のニュース