福岡、五輪断念 7人制ラグビー代表候補離脱 医学部受験勉強を最優先
昨年のラグビーW杯日本代表の一員で、史上初の8強入りに貢献したWTB福岡堅樹(27=パナソニック)が、来夏に延期になった東京五輪の7人制代表入りを断念したことが13日、分かった。同日、日本協会が代表候補からの離脱を発表した。今後は以前から志している医師を目指し、来年4月の医学部入学に向けて受験勉強を最優先するもよう。福岡は14日、オンラインの記者会見に臨む。
新型コロナウイルスの影響で、3月24日に東京五輪延期が決まってから約3カ月。医学部受験か、現役を1年延期して2大会連続五輪出場か、態度を保留したままだった福岡が、ついに断を下した。今月19日から部分的な代表活動の再開を目指す日本協会は、五輪代表候補の離脱選手を発表。同じくリオ五輪代表だった桑水流裕策(コカ・コーラ)ら4人とともに、福岡の離脱が発表された。
母方の祖父や叔母が医師で、父・綱二郎さんは歯科医師という一家に生まれた福岡は、幼少期には自然と医師を志すようになった。ラグビー選手として大成した後も、その思いは変わらず。昨年のW杯と東京五輪をプレーヤーとしての集大成と位置付け、五輪後は入試に向けた受験勉強に専念する予定だった。五輪延期決定後は、7人制代表の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)らと、今後について緊密に協議。熟考の結果、第二の人生を歩む決断に至ったもようだ。
14日に開かれる記者会見では、来年1月に開幕予定の来季のトップリーグ(TL)への出場意思が焦点となる。今季の個人最終戦となった1月18日のトヨタ自動車戦後の会見では、「TLは次のシーズンの可能性はあるし、プレーできたらいいなと思う」と表明。一方で関係者によると、現時点で試験時期の早いAO入試は視野に入れておらず、年明けの一般入試を目指すという。練習との両立が困難と判断すれば、このまま現役引退となる可能性もある。
13年4月に日本代表デビューを果たし、同年11月のスコットランド戦では2トライを記録。15年W杯、16年リオ五輪では日本の躍進に貢献し、昨年のW杯アイルランド戦では逆転トライをマーク。記録にも記憶にも残る活躍を続けてきた韋駄天(いだてん)男の発言に注目が集まる。
《桑水流、橋野ら4人も離脱》日本協会は福岡の他に、リオ五輪で主将を務めた桑水流、長年セブンズで活躍した橋野皓介(キヤノン)、福岡とは筑波大で同期だった山内俊輝(リコー)、ニュージーランド出身のジョー・カマナ(コカ・コーラ)の離脱も発表した。昨夏、7人制代表に復帰した桑水流だが来年の五輪は35歳で迎えるため、年齢などを理由に辞退となったもよう。また橋野は所属チームの公式ウェブサイトで「1年延期が決まった時に、よし1年後!とはなりませんでした。まだラグビーは引退しません」などとコメントした。
【福岡の五輪での活躍】
☆15年W杯(15人制)藤田とともに現役大学生ながら31人の代表入り。大金星となった初戦の南アフリカ戦はメンバー外で、第2戦のスコットランド戦に先発出場。その2年前に2トライを挙げた好相性の相手だったが、自慢のスピードを生かせる場面は少なくノートライに終わり、日本も10―45と惨敗。結果的に出場も1試合にとどまった。
☆16年リオ五輪(7人制)同年1月から7人制に専念し、大会直前に体調を崩すトラブルに見舞われながらも、初戦のニュージーランド戦では途中出場で14―12の大金星に貢献。出場5試合(うち先発0)で自身はノートライも、前評判を覆す4強入りを果たした。
☆19年W杯(15人制)大会直前の南ア戦で故障し、開幕ロシア戦はメンバー外。第2戦のアイルランド戦も当初はメンバー外だったが、トゥポウが故障し試合当日にリザーブ入り。後半に投入されると、逆転トライを奪い19―12で勝利。続くサモア戦で1トライ、大会初先発のスコットランド戦では2トライを挙げ、8強入りに貢献した。
◆福岡 堅樹(ふくおか・けんき)1992年(平4)9月7日生まれ、福岡県古賀市出身の27歳。5歳からラグビーを始め、福岡高3年で花園出場。1浪後の12年に筑波大へ進学し、16年からパナソニック所属。15人制では15、19年W杯に2大会連続出場し、19年大会は通算4トライ。7人制では16年リオ五輪に出場し、4強入りに貢献。15人制代表通算38キャップ。1メートル75、83キロ。
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