綱取り“徳俵”残った若の左足 軍配曙に上がるも差し違え3敗死守

[ 2020年6月7日 05:30 ]

夏場所メモリー   若乃花(東大関) 突き落とし 曙(東横綱) ( 【14日目】1998年5月23日 )

98年の夏場所14日目、曙に一方的に攻められた若乃花だったが土俵際で左足を何とか残して逆転勝ち
Photo By スポニチ

 曙の突きに後退したところで、若乃花が驚異の粘りを見せた。俵で踏ん張ってから左足を軸に体を開くと、勢い余った相手が前のめりに倒れた。軍配は曙に上がったが物言いがついた。「もう一番取るつもりで自分に言い聞かせていた」が左足は残っており、差し違え。3敗を守って単独トップに立った。

 大関29場所目で3度目の綱獲り。過去の2度は肝機能障害、右大腿二頭筋断裂で途中休場に追い込まれた。混戦で踏ん張った3度目は、千秋楽の本割で敗れても決定戦が残されていたが、審判部は4敗の優勝なら横綱審議委員会に諮問しないと決めていた。重圧が懸かる武蔵丸戦。立ち遅れながらも勝ち、5度目の優勝を飾った。

 「ケガをしてからずっと苦しかった。あの苦しみがあったからここまで来られた」。小さな体で曙、武蔵丸らの大型力士と戦い続けた「お兄ちゃん」。弟・貴乃花の昇進から3年半、史上初の兄弟横綱が誕生した。ただ、兄弟でも取り口や相撲観は全く違う。この昇進が絶縁の始まりとなった。

続きを表示

2020年6月7日のニュース