【砂村光信の目】サンウルブス 逆転につながった前半中盤の粘り

[ 2017年7月16日 09:21 ]

スーパーラグビー最終節   サンウルブズ48―21ブルーズ ( 2017年7月15日    秩父宮 )

<サンウルブズ・ブルーズ>後半18分 モールを押し込み逆転の認定トライを奪いガッポーズする内田(右)、ブリッツ(左から2人目)ら喜ぶサンウルブズフィフティーン
Photo By スポニチ

 サンウルブズの今季の敗戦は、前半から大差をつけられた展開が多い。コンタクトの回数を減らし体力を温存する「キッキングゲーム」が基本戦術だが、これは同時に相手に攻撃権を渡す可能性を常にはらんでいる。得点差が開いてしまうとボールを失う可能性のある選択肢は選びづらくなり、思うような展開には持ち込めない。

 鮮やかな逆転勝利の中で光ったのは、相手に簡単に3本目のトライを奪われ7―21となった前半中盤からの粘りだ。2度もトライチャンスを迎え、インゴールノックオンなどで無得点に終わりながらも、粘り強い防御で相手追加点は許さず、39分のトライで7点差として折り返した。接戦に持ち込んだことで戦術はブレず、「いける」という感触をつかめたことは大きかった。高温多湿の気象条件がサンウルブズに有利に働いたという声もあったが、ブルーズは1カ月以上も試合間隔が開いており、日本に2週間滞在して調整したはず。オールブラックス戦士を擁する強敵への勝利は、素直に喜んでいい。

 参戦2季目は2勝となったが、いずれもホームでの試合。改めて日本のラグビーファンの支えがチームの力になっていると実感した。一方で、忘れてはいけないのが選手の体調管理だ。スーパーラグビーのシーズンは終了したが、来月18日にはトップリーグが早くも開幕する。現在、選手の所属先は夏合宿の真っ最中で、サンウルブズのメンバーも合流するはずだ。果たして疲労の蓄積はどれほどのものか。19年W杯を控え日本ラグビー界として何が最重要か、考えてみる時期ではないかと思う。(元U―23日本代表監督)

続きを表示

2017年7月16日のニュース