大関昇進で太刀持ち“卒業” 高安「上を目指して」貫く攻めの姿勢

[ 2017年6月15日 09:00 ]

11日、第19代横綱・常陸山の生誕の地で奉納土俵入りを披露する稀勢の里(右)と太刀持ちの高安
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 大相撲夏場所で11勝を挙げた高安(田子ノ浦部屋)が3場所合計34勝という堂々の成績を収め、場所後に大関昇進を果たした。大関昇進に伴って、兄弟子の横綱・稀勢の里の太刀持ちも“卒業”となる。6月11日に茨城県水戸市にある第19代横綱・常陸山の像の前で行われた横綱土俵入りが、最後の太刀持ちとなった。

 稀勢の里が横綱に昇進した初場所後の明治神宮奉納土俵入りから約4カ月半で務めを負えたが、高安には貴重な経験となったようだ。「(本場所では)連日、土俵入りを見られて刺激になった。高い目標を持てるようになった」と振り返る。兄弟子の活躍に引っ張られるように高安も結果を出していった。大関獲りが振り出しに戻った初場所。稀勢の里が初優勝を飾ると、高安も11勝。稀勢の里の新横綱場所では自己最高の12勝を挙げた。夏場所は左上腕付近の負傷により稀勢の里が途中休場となったが、11勝を挙げて大関昇進を決めた。

 99年夏場所後に武蔵丸が第67代横綱に昇進したが、武蔵丸がいた当時の武蔵川部屋からは、99年名古屋場所後に出島、00年春場所後に武双山、同年夏場所後に雅山と立て続けに大関が誕生した。部屋に横綱がいれば、これ以上ない稽古を積める。高安の「今の自分がいるのは横綱のおかげ」という言葉にも実感がこもる。

 大関に昇進したばかりだが、高安は早くも上の地位を見据えている。大関昇進伝達式では「どんな状況でも正々堂々闘いたい」と抱負を述べた上で「上に上がるためには優勝しかない。それを目指していきたい」と横綱を意識する発言をした。常陸山像の前での土俵入りを終えた後も「自分もいつかこの場所で(横綱土俵入りを)やりたい」と言い切った。大関の地位を維持するために受け身になるのではなく、最高位を目指して攻めの姿勢を貫く覚悟だ。

 平成生まれの高安は、新十両、新入幕、新三役で平成世代一番乗りを果たしたが、大関昇進と初優勝は年下の照ノ富士に先を越された。その照ノ富士は両膝の負傷などを乗り越え、ここ2場所は13勝、12勝と高安より多く勝ち星を挙げている。ベテランの域に入ってきた豪栄道も含め、3大関の中で誰が先に第73代横綱の肩書を手に入れるのか。高安の大関昇進で、土俵への興味はさらに広がってきた。(佐藤 博之)

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2017年6月15日のニュース