稀勢、非公開の厳戒始動 自己最重量184キロも「大丈夫」

[ 2017年5月3日 05:30 ]

力士会を終え笑顔で引き揚げる稀勢の里
Photo By スポニチ

 左上腕などを負傷している大相撲の横綱・稀勢の里(30=田子ノ浦部屋)は2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で報道陣をシャットアウトして稽古を再開した。全休した春巡業の間は四股などの基本運動が中心だったが、3連覇が懸かる夏場所(14日初日、両国国技館)に向けて、この日から土俵に入って三段目の力士を相手に相撲を取った。午後からは東京・両国国技館で開かれた力士会に参加。その場で計測した体重は自身最重量の184キロとなった。

 鉄のカーテンは引かれたままだった。稽古再開のこの日、通常なら報道陣が部屋に入れる午前8時30分になっても玄関の鍵は開けられなかった。稽古の途中で外に出てきた師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は「(稀勢の里は)本調子じゃないし、稽古始めだし。金曜(5日)くらいまでは非公開にしたい」と説明した。4月は春巡業を休んだため稽古は非公開。その厳戒態勢は節目である前日の番付発表を経ても変わらなかった。

 復活に向けての進歩はあった。三段目力士を相手に春場所後初めて相撲を取る稽古を20分程度行った。力士会後に取材に応じた稀勢の里は「いいんじゃないですか。(久しぶりの土俵は)気持ちがいい。(負傷は)ほぼほぼ大丈夫」と話した。

 力士会での体重測定は今年初場所前から9キロ増えて184キロだった。昨年初場所前の178キロを上回る自己最高体重で初の180キロ台。十両時代に前回計測時より8・5キロ増えたことはあったが、それは伸び盛りの10代の話。30代での9キロ増は不安を覚える。それでも稀勢の里は「暴飲暴食をして大きくなったわけじゃない。いろいろこだわってやってきた結果。いい汗をかいている」と稽古不足による増量でないことを強調した。そして「非常にいい食生活。こういうときじゃないとできないこともあるし」と体重を維持していく考えを示した。

 3日は横綱審議委員会の稽古総見が両国国技館の本土俵で行われる。徐々に状態が上がっているとはいえ、いきなり関取相手の稽古ができるとは考えにくい。田子ノ浦親方は「無理をさせないようにやっているが、場所前でそうも言ってられない」と頭を悩ませる。本格的な稽古ができずに夏場所に出場すれば、横綱といえども厳しい戦いを強いられるはず。初日まで残り11日は、決して長い準備期間とは言えない。

続きを表示

2017年5月3日のニュース