伊達 1年4カ月ぶり復帰 敗れるも「やっとスタートラインに立てた」

[ 2017年5月3日 20:02 ]

1年4カ月ぶりに復帰した伊達公子
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 試合を終えて約1時間、会見場に現れた伊達公子(46=エステティックTBC)は終始、穏やかな笑みを浮かべていた。2度の左膝手術を経て1年4カ月ぶりの復帰戦。「やっとスタートラインに立てた。手術したことを考えると上出来」と十分な手応えをつかんだ。

 伊達を追うテレビカメラは10台を超え、2800人収容のセンターコートは立ち見も出て注目度は抜群だった。久々に味わう試合前の緊張感、膝への不安はもちろんあった。「可能性を感じられるか、挫折感があるか」と背水の覚悟で臨み、世界ランキング136位の朱琳(23=中国)に2―6、2―6のストレートで敗れた。

 試合中には「カモン!」「もうっ!」「足が合ってない!」といつものように大きな声を張り上げた。「痛みを感じずにできてホッとした」と左膝には大きな問題は出なかったという。チャンスでのボレーミスや振られた時のターンの鈍さはあったが、伊達は「膝の痛み、怖さがなければもっと動けるようになる」と前向きに捉えた。

 昨年2月に左膝の半月板縫合手術、同4月に軟骨の移植手術を受けた。長いリハビリを経て、先月のエキシビションマッチで実戦復帰。その後は痛みが出て膝にたまった水を2度抜き、岐阜入りする前にも水を抜いたという。

 不安と希望を薄皮のように積み重ね、ようやく大会出場にこぎつけた。「私の中では可能性を感じる試合ができた。可能性を感じられなければ明日もない。今ここで引退を迷っていたはずだが、その気持ちは自分の中には全くない」

 今後は「試合数をこなして感覚を取り戻すのが一番。実際のランキングを戻していかないと試合にも出られない」と状態を見極めた上で出場試合を選定していく。現在世界ランキングは消滅しており、公傷制度によって193位相当の「スペシャルランキング」がある。これは復帰から1年間で8大会しか利用できないため、それ以外には主催者推薦や本当のランキングによって出場資格を得るしかない。

 次戦は「奇跡的にランキング無しで入れたので」と8日から始まる韓国の大会の予選に出場予定。「審判もいない環境らしいけど、練習と言い聞かせて頑張りたい」とハングリーな環境にもいとわず飛び込む。意欲を示していたウィンブルドンの予選出場は見送る方針も示し、「これからもまたマイペースで戦いを続けていけたら」と力強く現役続行宣言した。

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2017年5月3日のニュース